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HPV​(ヒトパピローマウイルス)とは?

更新日:

HPV(ヒトパピローマウイルス)とは?ひよりレディースクリニック福岡博多

監修者|橋田修医師

ひよりレディースクリニック福岡博多院長

産婦人科専門医

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HPV(ヒトパピローマウイルス)は、女性の子宮頸がんの原因として広く知られていますが、実際には男女ともに感染する可能性があるウイルスです。

本記事では、HPVの概要、種類と特徴、感染経路、関連する病気、そして予防方法まで、わかりやすく解説します。

目次

HPV(ヒトパピローマウイルス)とは

HPV(ヒトパピローマウイルス)は、性交渉の経験がある多くの方が一生に一度は感染するとされる、とても身近なウイルスです。子宮頸がんの主な原因として知られています。

HPVは200種類以上の型が確認されており、大きく皮膚型と粘膜型に分けられます。

このうち、性行為を通じて感染する約40種類が粘膜型に分類され、子宮頸部や性器の周囲に影響を及ぼします。

HPVに感染しても、身体の免疫機能によって自然に排除されるため、多くの場合は症状が出ません。しかし、一部のHPV型は長期間体内に留まり(持続感染)、細胞に異常を起こして、将来的に子宮頸がんなどの病気につながることがあります。

HPVの種類と特徴

HPVの種類と特徴|ひよりレディースクリニック福岡博多

HPVは、引き起こす病気のリスクによって「低リスク型」と「高リスク型」に分けられます。

低リスク型HPV

低リスク型HPVは、細胞をがん化させる危険性は低いとされています。

代表的なのはHPV6型とHPV11型で、性器や肛門のまわりにイボができる「尖圭コンジローマ(性器いぼ)」の原因となります。

尖圭コンジローマは見た目の不快感や性交時の違和感を伴うことがありますが、命に直結する病気ではなく、治療により改善が可能です。ただし、再発を繰り返すこともあり、心理的な負担になることがあります。

高リスク型HPV

高リスク型HPVは、長期間体内に残ることで細胞に異常な変化を起こし、がんにつながる可能性があります。

代表的なものはHPV16型とHPV18型で、子宮頸がんの約40〜50%は16型、約20〜30%は18型が原因とされています。
(参考:日本産科婦人科学会資料

その他、HPV31型、33型、45型などが高リスク型に分類され、子宮頸がんだけでなく、肛門がん・咽頭がん・陰茎がん・膣がん・外陰がんなどの一因となることが知られています。

持続感染のリスク

多くのHPV感染は一過性で、免疫の働きによって自然に排除されます。

イメージとしては、感染しても自然に治ることが多い風邪のようなものと考えてください。

ただし、問題となるのは「持続感染」と呼ばれる状態で、ウイルスが長く体内にとどまる場合です。

高リスク型のウイルスが持続感染すると、5年〜10年以上の長い期間をかけて細胞に異常な変化(異形成=前がん病変)を起こし、子宮頸がんへと進展するリスクにつながります。

悩んでいる患者さまのイメージ画像

HPVに感染したら必ず子宮頸がんになるのですか?

いいえ、HPVに感染しても必ずがんになるわけではありません。多くの場合は免疫によって自然に治ります。ただし、一部の方ではウイルスが長く体内に残り続け(持続感染)、その結果として子宮頸部の細胞に異常が生じ、将来的に子宮頸がんなどの前がん病変へ進行することがあります。そのため、定期的に子宮頸がん検診を受けて早めに変化を見つけることが、とても大切です。

HPVの感染経路

HPVは、性別や年齢に関わらず、誰にでも感染する可能性がある非常に身近なウイルスです。

実際に、性交渉を経験した人の約80%が一生に一度はHPVに感染すると言われています。
(参考:日本産科婦人科学会資料

主な感染経路:皮膚や粘膜の接触

HPVは、血液や体液を介するのではなく、皮膚や粘膜が触れることで感染します。

HPVは症状が出ないことが多いため、「相手に症状がないから大丈夫」とは限りません。自覚のないまま感染し、パートナーにうつしてしまうこともあります。

その他の感染経路

ごく稀に、出産時に母親から赤ちゃんへHPVが移ることがあります。

その場合、赤ちゃんの気道にイボのようなできものができる「再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)」を発症することがあります。

特に喉頭にできる乳頭腫は、年齢を問わず起こり得ますが、最も多いのは1~4歳の小児です。
(参考:MSD-再発性呼吸器乳頭腫症

ただし、こうした母子感染は非常に稀であり、過度に心配する必要はありません。

HPVがうつらない例

HPVは日常生活の中で感染することはありません。例えば、次のような行為で感染することはありませんのでご安心ください。

HPVに感染するとどうなる?

HPVに感染するとどうなりますか?ひよりレディースクリニック福岡博多

ほとんどは「無症状」で自然に排除

HPVに感染したとしても、多くの場合は身体の免疫によって自然に排除されます。

実際に、HPVに感染した人の約90%は免疫の力でウイルスが消失すると言われています。

症状がまったく出ないまま経過することが多いため、自分が感染していることに気づかないケースがほとんどです。

そのため「特別な人だけがかかる病気」ではなく、誰にでも起こりうる身近な感染症と理解しておくことが大切です。

尖圭コンジローマとして現れる場合

低リスク型HPVに感染した場合、数週間〜数か月後に性器や肛門の周囲にイボ(尖圭コンジローマ)ができることがあります。

これらは良性でがん化することはありませんが、再発を繰り返すことがあり、見た目や生活への影響から強い不安を感じる方も少なくありません。

パートナーにうつしてしまう心配から、精神的な負担になるケースもあります。

持続感染による細胞異常とがん化

最も注意が必要なのは、ハイリスク型HPVの持続感染です。

HPVが長期間体内に留まることで、子宮頸部の細胞が少しずつ変化し、異形成(前がん病変)を経て、最終的にがんへと進行する可能性があります。

また、HPVによるがんは子宮頸がんだけではありません。

女性子宮頸がん・外陰がん・膣がん
男性陰茎がん
男女共通肛門がん・咽頭がん(中咽頭がん)

このように、HPVは男女ともに様々ながんの原因となり得ます。

中でも近年注目されているのが『中咽頭がん』です。日本では現在、年間およそ5,000人が新たに中咽頭がんと診断されており、男女ともに増加傾向にあります。
(参考:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

HPVの予防の基本

HPVは性行為感染症(性病)の一つであり、コンドームだけでは完全に防ぐことはできません。そのため、「ワクチン接種」と「定期検診」という二段構えの対策が大切です。

性感染症であることの理解

HPVは、腟性交・肛門性交・口腔性交を含む性行為を通じて感染します。

性パートナーの数が多いほど感染リスクは高まりますが、たとえパートナーが少なくても誰にでも感染する可能性があります。つまり、「特別な人だけがかかる病気」ではなく、誰もが注意すべきウイルスです。

コンドームの部分的な効果

コンドームの使用は性感染症の予防に有効ですが、HPVは性器周辺の皮膚や粘膜の接触からも感染するため、コンドームで完全に防ぐことはできません。

感染リスクを大幅に減らすことはできますが、「ゼロ」にはならない点を理解しておくことが大切です。

定期的な検診・早期発見の重要性

HPVの持続感染による異形成は、自覚症状がなく進行するのが特徴です。

子宮頸がん検診(細胞診やHPV検査)を定期的に受けることで、異常を「前がん病変(異形成)」の段階で発見でき、がんへの進行を防ぐことができます。

※HPVワクチンの種類、接種時期、効果などの詳細については「HPVワクチン」のページをご覧ください。

当院でできること

ひよりレディースクリニック福岡博多では、HPV検査・HPVワクチン・子宮頸がん検診などを通じて、HPV感染に関する不安や、検診で異常を指摘された方に対して、安心してご相談いただける体制を整えています。

また、検診で異常が見つかった場合は、ハイリスクHPV検査を追加したり、必要に応じてコルポスコピーなどの精密検査を行います。

当院で対応が難しい場合には、連携している専門施設へ速やかにご紹介し、治療につながるようサポートいたします。

ぜひお気軽にご相談ください。

Reservation

ひよりレディースクリニック福岡博多は、24時間365日即時予約を承ります。

HPVのよくあるご質問

HPV検査で陽性が出たらどうすればいいですか?

HPV検査が陽性でも、すぐにがんがあるという意味ではありません。まずは子宮頸がんの精密検査を行い、子宮頸部異形成(前がん病変)の有無などを確認します。ひよりレディースクリニック福岡博多でも精密検査が可能ですので、お気軽にご相談ください。

子宮頸がん検診とHPV検査は別物ですか?

はい、それぞれ役割が異なります。子宮頸がん検診の基本となる「細胞診」は、子宮頸部の細胞の形を調べて異常がないかを確認する検査です。一方「HPV検査」は、子宮頸がんの原因となるウイルス(HPV)に感染しているかどうかを直接調べる検査です。両方を組み合わせることで、より精度の高い検査が可能になります。

夫婦でHPVを予防する方法はありますか?

はい、最も効果的なのは夫婦そろってHPVワクチンを接種することです。HPVは性的な接触によって感染するため、パートナーのどちらか一方だけでなく、男女ともに接種することで予防効果が高まります。男性が接種することで、自身の肛門がんや陰茎がんなどの予防につながるだけでなく、パートナーへの感染を防ぐことにも役立ちます。また、コンドームの使用も感染リスクを減らす補助的な方法として有効です。

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