背中ニキビの原因と治し方(薬・ピーリング)
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監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
産婦人科専門医

本記事では、背中ニキビができる原因や、ホルモンバランスの影響を受けやすい大人の女性ならではのニキビの特徴について解説します。
婦人科でご提案できる治療法として、内服治療や、医療機関専用のピーリング「マヌカピール」についても詳しくご紹介します。
目次
背中ニキビはなぜできる?原因は?

背中ニキビは、顔のニキビと同じように、肌の皮脂や古い角質が毛穴に詰まることで発生します。
特に背中は、皮脂腺が多いため、顔よりもニキビができやすい場所です。
ニキビは、毛穴に詰まった皮脂をエサにしてアクネ菌が増殖することで、炎症を起こします。
この炎症が進行すると、初期の白ニキビから、赤ニキビ、そして膿を持った黄ニキビへと悪化していきます。
背中ニキビは、なかなか治らなかったり、繰り返しできたり、治ったと思ってもニキビ跡として残ったりと、長年の悩みの種になることが多いです。
こちらでは、背中ニキビの原因を「直接的な要因」と「間接的な要因」に分けて、詳しく見ていきましょう。
背中ニキビの直接的な要因4つ
1.皮脂の過剰分泌による毛穴詰まり
背中ニキビの原因としてまず挙げられるのが、皮脂の過剰分泌です。
背中は、顔のTゾーンと同じように皮脂腺が密集している場所ですが、皮脂分泌が多くなると毛穴が詰まりやすくなり、ニキビの初期段階である「白ニキビ」ができやすくなります。
この皮脂分泌を活発にする要因のひとつが、男性ホルモン(アンドロゲン)です。
男性ホルモンには、皮脂腺を刺激して皮脂の分泌量を増やす働きや、角質を厚くする作用があり、肌トラブルに大きく関わっています。
思春期だけでなく、大人になっても生理前やストレス時、睡眠不足のときなどにホルモンバランスが乱れることで、皮脂が増えてニキビが悪化しやすくなります。
背中・胸・デコルテ・首まわりなど、「脂腺性毛包(しせんせいもうほう)」と呼ばれる皮脂腺の多い毛穴が集まっている部位は、まさにニキビができやすいゾーンなのです。
2.古い角質が毛穴を塞ぐ「角質肥厚」
「ちゃんと洗っているのに、なぜかニキビができる…」
そんなときに疑いたいのが、古い角質が厚くたまってしまう状態=角質肥厚(かくしつひこう)です。
私たちの皮膚は、一定のサイクルで新しい細胞に生まれ変わっています。
これを「ターンオーバー」といいますが、このリズムが乱れると、剥がれるはずの角質が肌表面に残って蓄積されてしまいます。
その結果、毛穴の出口が硬くふさがれ、皮脂が中にたまって「白ニキビ(面皰)」の原因になり得ます。紫外線や乾燥、そして肌への摩擦が角質肥厚を招く主な原因です。
特に背中は、衣類や下着による刺激を受けやすく、無意識のうちに角質が厚くなりやすい部位と言えます。
さらに、男性ホルモン(アンドロゲン)にも角質を厚くする作用があるため、ホルモンバランスが崩れたときにも、このような状態が進行しやすくなります。
3.蒸れ・摩擦が肌を刺激
背中は、汗腺が多く皮脂も出やすいのに、鏡で見えづらく、ケアもしにくい......
だからこそ、知らないうちに「ニキビができやすい環境」になっていることが多いです。
とくに注意したいのが、衣類や下着による「蒸れ」と「摩擦」です。通気性の悪い服で汗をかいたまま過ごすと、湿気がこもって雑菌が増えやすくなります。
また、タイトなインナーや下着によるこすれは、肌にとっては“刺激”となり、ニキビを悪化させてしまう可能性もあります。
さらに、洗剤や柔軟剤の成分が肌に合っていない場合、知らずに刺激となっている可能性もあります。
肌へのやさしさを重視して、通気性・吸水性のよい素材や、低刺激の洗濯用品に見直すことも、背中ニキビの改善には効果的です。
4.アクネ菌の増殖が炎症を悪化
「最初は小さくポツポツあった肌荒れだったのに、気づいたら赤く大きくなってきた」
それは、アクネ菌の増殖による炎症が進んでいるサインかもしれません。
アクネ菌は常在菌で、普段は肌のバランスを保つ存在です。
しかし、毛穴が詰まり、内部に皮脂がたまると、酸素の少ない・皮脂が豊富な環境がアクネ菌を活性化させます。ここで菌が異常に増殖し、炎症を引き起こす物質を放出してしまうのです。
こうして白ニキビ(面皰)は、赤みや腫れを伴う赤ニキビへと進行し、さらに悪化すると、痛みやかゆみといった不快な症状が現れ、治るまでに時間がかかることもあります。
ニキビを繰り返さないためには、炎症を起こす前の段階で適切にケアすることが大切です。
悪化させる間接的な要因3つ
1.間違った洗い方に要注意
「ちゃんと洗っているのに、なぜか治らない…」
そんなときは、スキンケアのやり方そのものが肌に負担をかけている可能性があります。
背中ニキビを早く治したい一心で、ナイロンタオルでゴシゴシ洗ってしまっていませんか?
実はこの“念入りな洗い方”こそが、摩擦による刺激となって炎症を引き起こし、ニキビを悪化させる原因になることがあります。
また、意外と見落とされがちなのが、シャンプーやボディソープのすすぎ残しです。洗浄成分が背中に残ると、毛穴詰まりや肌トラブルを引き起こしやすくなります。
肌へのやさしさを第一に考えるなら、手のひらややわらかいタオルで泡を使って洗うのが基本です。
特に背中は洗いにくい部位だからこそ、シャワーでしっかりすすぐことを意識しましょう。
2.ホルモンバランスの乱れ
「忙しい時期ほど、ニキビが増える気がする…」
それは気のせいではありません。
ストレスによるホルモンバランスの乱れが、背中ニキビを悪化させている可能性があります。
人は強いストレスを受けると、自律神経のバランスが崩れやすくなります。
この乱れがホルモン分泌にも影響し、特に男性ホルモン(アンドロゲン)への感受性が高まることで、皮脂の分泌が増えてしまうのです。
まずは、自分をいたわる時間をもつことも、治療のひとつです。リラックスする習慣や睡眠の質を見直すことが、背中ニキビの改善につながる場合もあります。
3.睡眠不足
「最近、寝不足気味かも…」
そんな日が続いているとき、背中ニキビがなかなか治らないと感じることはありませんか?
実は、肌の修復に欠かせない“成長ホルモン”は、眠っている間に多く分泌されるのです。
この成長ホルモンは、日中に受けたダメージを修復し、肌のターンオーバー(再生)を助ける働きがあります。
ところが、睡眠不足や不規則な生活が続くと、その分泌がうまくいかず、肌の新陳代謝が滞ってしまうのです。
その結果、ニキビができやすくなったり、炎症が長引いたりと、肌トラブルが慢性化しやすくなります。
背中ニキビを改善するためには、スキンケアだけでなく、十分な睡眠時間と“質のよい眠り”を確保することがとても大切です。
寝室の環境を整えたり、寝る数時間前からスマホは見ないようにするなど、できることから少しずつ見直してみましょう。
女性ホルモンと背中ニキビの関係

背中ニキビの原因について解説しましたが、もしも背中ニキビが治りにくい・繰り返すという場合は、ホルモンバランスの乱れが根本にあるからかもしれません。
婦人科では、このホルモンバランスの視点からニキビの原因を深く探り、改善を目指します。
女性ホルモンには、主に「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。
エストロゲン | 肌の潤いやハリを保ち、皮脂分泌を抑える働きがあります。「美肌ホルモン」とも呼ばれ、生理周期では卵胞期(生理後から排卵まで)に多く分泌されます。 |
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プロゲステロン | 皮脂分泌を促進させる働きがあります。生理周期では黄体期(排卵後から生理まで)に多く分泌されます。 |
生理前や生理中にニキビが悪化する、という経験がある方も多いのではないでしょうか。
これは、黄体期にプロゲステロンの分泌量が増え、皮脂分泌が活発になることや、プロゲステロンの働きによって角質が厚くなり、毛穴が詰まりやすくなることが原因と考えられます。
また前述の通り、不規則な生活、ストレス、睡眠不足などもホルモンバランスを乱す大きな要因となります。
ストレスを感じると、男性ホルモン(アンドロゲン)が一時的に増加し、これも皮脂分泌を促進し、ニキビを悪化させる可能性があります。
ここからは、婦人科でできる背中ニキビの治療について、ご紹介します。
婦人科でできるニキビ治療|薬・ピーリング

ひよりレディースクリニック福岡博多では、ホルモンバランスの乱れが原因の背中ニキビに対して、婦人科ならではの治療をご提案しています。
低用量ピル
低用量ピルは、避妊薬として広く知られていますが、実はニキビ治療にも非常に効果的な選択肢の一つです。
効果とメカニズム
低用量ピルには、エストロゲンとプロゲステロンの合成ホルモンが配合されています。
これらを服用することで、脳からの排卵を促すホルモンの分泌が抑えられ、体内のホルモンバランスが安定します。
特に、皮脂分泌を促進する男性ホルモンの影響を抑制することで、ニキビの発生や悪化を防ぎます。
また、排卵を抑制することで、生理周期に伴うホルモン変動が緩やかになり、生理前のニキビ悪化の改善にも繋がります。
肌のターンオーバーも正常化しやすくなるため、毛穴の詰まりも改善され、総合的にニキビができにくい肌環境へと導きます。
このような方におすすめ
- 生理周期に合わせてニキビが悪化する方
- 繰り返しニキビができる方
- 多毛症や月経不順など、ホルモンバランスの乱れによる他の症状もある方
注意点
ピルには血栓症のリスクなど、副作用も存在します。
服用前には医師による詳しい問診と説明が必要不可欠です。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、患者様一人ひとりの状態をしっかりと把握し、メリット・デメリットを丁寧に説明した上で、適切なピルを選択します。
スピロノラクトン
スピロノラクトンは、元々は高血圧やむくみの治療薬として用いられる利尿剤の一種ですが、男性ホルモンの働きを抑制する作用があることから、ニキビ治療にも応用されています。
効果とメカニズム
スピロノラクトンは、男性ホルモンが皮脂腺に作用するのをブロックすることで、皮脂の過剰分泌を抑えます。
男性ホルモンがニキビの大きな原因となっている場合、この薬が特に有効です。
特に、顎周りやフェイスライン、そして背中といった、男性ホルモンの影響を受けやすい部位のニキビに効果を発揮しやすいとされています。
このような方におすすめ
- 低用量ピルが合わない、または服用できない方
- 男性ホルモンの影響が強く疑われるニキビの方
- 難治性のニキビで悩んでいる方
注意点
スピロノラクトンは、生理不順や、多尿などの副作用が起こる可能性があります。
また、服用中は定期的な血液検査で電解質バランスなどを確認する必要があります。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、これらのリスクを管理しながら治療を進めていきます。
背中ニキビにピーリング施術
「内服薬はちょっと抵抗がある」「もっと直接的にニキビをケアしたい」という方には、ピーリングが効果的な選択肢となります。
背中ニキビの原因の一つである毛穴の詰まりや古い角質の蓄積に対して、ピーリングは直接アプローチします。
医療機関専用の「マヌカピール」で優しくケア
ひよりレディースクリニック福岡博多にて、背中ニキビの治療におすすめしているのが、医療機関専用のピーリング剤「マヌカピール」です。
従来のピーリング剤のような角質ケアにとどまらず、「抗菌作用」「保湿作用」「皮膚バリアの補修(シーリング作用)」を同時に叶えることができる点が大きな魅力です。
当院でお取り扱いのあるマヌカピールは、「ミックスピールマヌカ(酸濃度40%)」と、「ミックスピールマヌカ アクティブ(酸濃度55%)」の2種類です。
施術頻度と回数
効果を実感していただくには、2~4週間に1回の頻度で、3~5回ほど継続して施術を受けていただくことをおすすめします。
ニキビの状態や目標によって回数は異なりますが、数回の施術で肌の変化を実感されるケースが多いです。
このような方におすすめ
- 背中ニキビが気になっている
- ニキビ跡になってしまっている
- セルフケアでは効果を実感できなかった
- 痛みが強い施術はできるだけ避けたい
- 乾燥やざらつきなども気になっている
背中ニキビの治療はひよりレディースクリニックへ
「背中のあいたドレスを着たいのに、自信がない…」
「海に行きたいけど、水着になれない…」
背中ニキビは、見た目だけでなく、自信や行動にも影響を与える繊細なお悩みです。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、そのようなお悩みに婦人科ならではの視点と医療的なアプローチで治療を行っています。
当院は「美しい背中を取り戻したい」という願いを全力でサポートします。まずは、お気軽にご相談ください。
背中ニキビのよくあるご質問
背中ニキビは自然に治りますか?
軽度のニキビであれば自然に治ることもありますが、繰り返したり、炎症が強いニキビは、放置するとニキビ跡が残ってしまう可能性があります。特に大人の女性の背中ニキビはホルモンバランスが関係していることも多いため、専門的な治療を受けることで、早くきれいに治し、再発の予防にもつながります。
ピーリングの施術は痛みがありますか?
当院で使用しているマヌカピールは、刺激の少ない処方のため、施術中の痛みはほとんどありません。ただし、軽くピリピリとした感覚を覚える方もいらっしゃいますが、我慢できないような強い痛みは報告されていません。施術前には、肌の状態や不安な点をしっかりお伺いしながら進めていきますので、初めての方や痛みに不安がある方も、お気軽にご相談ください。
治療中に日常生活で気を付けることはありますか?
はい、いくつかございます。治療の効果を高めるために、保湿ケアをしっかり行うこと、ピーリング後のデリケートな肌を守るために紫外線対策を徹底すること、背中を清潔に保つためにシャンプーやコンディショナーの洗い残しに注意し清潔な衣類を着用すること、そして十分な睡眠やバランスの取れた食事・ストレスの軽減など生活習慣を整えることが大切です。
背中ニキビは皮膚科と婦人科、どちらを受診すべきですか?
皮膚の炎症だけを治療する場合は皮膚科が適していますが、繰り返すニキビや生理前に悪化するニキビなど、ホルモンバランスが関係している場合には、婦人科での治療が効果的です。当院では、ホルモンの視点からニキビの根本原因を探り、内服やピーリングを組み合わせた治療をご提案しています。