アフターピルを飲んでから何日で生理がくる?
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監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
産婦人科専門医

アフターピル(緊急避妊薬)服用後に見られる出血は、大きく分けて「消退出血」と「通常の生理」の2種類で、起こる時期と意味が異なります。
本記事では、アフターピル服用後に起こる出血について、生理が早く来る場合・遅れる場合の傾向や、生理がこない・遅れているときの対応を詳しく解説します。
目次
アフターピルを飲んでから何日後に生理がくる?

アフターピルを服用したあと、3日〜3週間ほどで出血が起こることが一般的です。
この出血は、避妊が成功しているサインのひとつとされていますが、必ずしも「生理」とは限りません。多くの場合は、薬に含まれるホルモンの影響によって起こる「消退出血(しょうたいしゅっけつ)」です。
消退出血とは?
消退出血とは、体内の女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が急激に減少することで、子宮内膜が剥がれ落ちて出血が起こる現象を指します。
これは本来の生理とは異なるもので、ホルモン剤の服用(アフターピルなど)によって一時的に起こる人工的な出血です。
この消退出血が起きるタイミングや量には個人差があります。服用後すぐに起こる方もいれば、3週間以上経ってから出血する場合もあり、一律に「何日後に出血する」と断定することはできません。
消退出血と生理の比較表
| 消退出血 | 通常の生理 | |
|---|---|---|
| 出血量 | 普段の生理より少ない傾向 | おりものシートでは収まらない程度 |
| 期間 | 2〜3日ほどで終わることが多い | 3日以上続くことが一般的 |
| 性状 | サラサラした血が多い | ドロッとした血や塊が見られることもある |
| 色 | 赤〜茶色。少量のときは茶色っぽい | 普段の生理と同じ色調 |
| 痛み | ほとんどない | 個人差があるが、生理痛を感じることも |
出血の量や期間、色などに個人差はありますが、いずれもホルモンの一時的な変化によって起こる自然な反応です。
アフターピル服用後に生理が早く来る・遅れる場合の傾向
アフターピルを服用した後の出血のタイミングは、服用時の排卵との関係によって変わります。
これは、アフターピルが一時的に体内のホルモンバランスを大きく変化させるためです。
排卵日前に服用した場合
排卵前に服用した場合、アフターピルの作用で排卵が一時的に抑えられ、服用から数日〜一週間ほどで消退出血が起こることが多いです。
その後、時間をおいて排卵が再開するため、次の本来の生理も通常周期どおりに訪れ、結果的に一か月の間に2回出血があるように感じる方もいらっしゃいます。
排卵日後や生理直前に服用した場合
排卵日後や、生理が近い時期にアフターピルを服用した場合は、すでにホルモンのリズムが生理に向けて変化しているため、消退出血が起こらない、または本来の生理とほぼ同時に出血することがあります。
この場合は、生理が予定より少し早まる、あるいはほぼ予定どおりに来ることが多く、出血を「予定より早い生理」と感じる方もいらっしゃいます。
生理周期が乱れる理由
アフターピルは、妊娠を防ぐために高用量の黄体ホルモンを一時的に体内に取り込む薬です。
このホルモンが一時的に排卵を抑えたり、子宮内膜を変化させたりすることで避妊効果を発揮します。
そのため、服用後は次の生理が早まったり遅れたりするなど、周期の乱れが一時的に起こることがありますが、ほとんどの場合、次の月経周期で自然に回復します。
アフターピル服用後に生理がこない・遅れている場合

アフターピルの影響で、一時的に生理周期が乱れることはよくあります。
多くの場合は時間の経過とともに自然に回復しますが、服用から3週間経っても生理(または消退出血)がこない場合は、妊娠の可能性を考慮しておく必要があります。
まずは妊娠検査薬で確認してみましょう。アフターピル服用によって生理が遅れること自体は珍しくありませんが、3週間以上経っても出血がない場合には、
- 薬の効果が十分に得られなかった
- 服用後に再度性交渉があり、妊娠が成立している
などの可能性も考えられます。
婦人科を受診すべき目安
次のような場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
- アフターピル服用から3週間後に妊娠検査薬で陽性反応が出た場合
- 服用から3週間以上経っても出血(生理)がなく、妊娠検査薬が陰性でも不安な場合
- 出血の量や期間が普段と大きく異なる、または激しい腹痛・大量出血など体調に不安がある場合
- 今後の避妊方法について医師に相談したい場合
受診の際には、性行為があった日・アフターピルを服用した日・出血の有無やその状態を整理しておくと、診察がよりスムーズに進みます。
生理が安定しない場合はピル服用も選択肢
アフターピルの服用後に生理周期がなかなか安定しない場合や、今後も確実な避妊を希望される場合は、低用量ピルやミニピルの服用を検討するのも一つの方法です。
低用量ピル・ミニピルは、毎日決まった時間に服用することで排卵を抑制し、妊娠を高い確率で防ぐ効果があります。また、ホルモンのバランスを一定に保つため、生理周期を整える効果も期待できます。
服用を始めるタイミングは、医師と相談の上、アフターピル服用後の出血(消退出血または生理)を確認してから開始するのが一般的です。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、患者さま一人ひとりの身体の状態やライフスタイルに合わせて、最適な避妊方法をご提案しています。
アフターピル服用後の不安や、今後の避妊・生理周期に関するご相談も承っておりますので、どうぞ安心してご相談ください。
よくあるご質問
消退出血があれば妊娠していないですよね?
いいえ、消退出血があっても妊娠の可能性を完全に排除できるわけではありません。消退出血は避妊成功のサインの一つですが、不正出血や着床出血と見分けるのが難しいためです。妊娠の有無を確認するには、アフターピル服用から3週間後に妊娠検査薬を使用するのが最も確実な方法です。
アフターピル服用後の出血が少ないのですが大丈夫ですか?
出血量には個人差があり、少量でも問題ない場合がほとんどです。ただし、出血が極端に少ない・ほとんど見られないまま3週間以上経過する場合は、妊娠の可能性を確認するために検査薬を使用し、必要に応じて婦人科を受診してください。
生理が遅れていても性交渉して大丈夫ですか?
アフターピル服用後は、ホルモンバランスが一時的に乱れるため、排卵が通常より早まったり遅れたりすることがあります。そのため、生理が来ていない時期でも予期せぬタイミングで排卵が起こる可能性があります。アフターピルの避妊効果は一時的なものにとどまるため、生理が来るまではコンドームなど確実な避妊方法を併用することが重要です。









