避妊の方法と避妊率
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監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
産婦人科専門医

本記事では、避妊の重要性や、さまざまな避妊方法の種類とその避妊率について解説します。また、各避妊方法のメリット・デメリットを比較表で紹介し、「外だし」の妊娠率についてもわかりやすくご説明します。
目次
避妊の重要性とは
避妊とは、望まない妊娠を防ぐための大切な手段です。
妊娠は、精子と卵子が受精し、子宮内膜に着床することで成立しますが、適切な避妊を行うことで、その可能性を大幅に減らすことができます。
妊娠・出産は、人生の大きな選択のひとつです。
「今は妊娠したくない」「将来、希望するタイミングで妊娠したい」とお考えの方にとって、ご自身に合った避妊方法を知ることは、安心につながります。


避妊は心配しすぎるくらいがいい
避妊を心配しすぎるのは、決して悪いことではありません。
むしろ、大切なことです。
「もしかして失敗したかも…」「この方法で本当に大丈夫?」と不安になるのは、避妊方法について十分な知識がなかったり、適切な方法が選べていなかったりするからかもしれません。
そんなときは、お一人で抱え込まず、ひよりレディースクリニック福岡博多までお気軽にご相談ください。
当院では、患者さまのライフスタイルやタイミングに合った避妊方法をご提案します。
避妊方法の種類と避妊率
避妊方法にはさまざまな種類があり、それぞれの効果や避妊率が異なります。
こちらでは、代表的な避妊方法とその避妊率について詳しく解説します。
1.低用量ピル・ミニピル

低用量ピル・ミニピルは、排卵を抑えるだけでなく、子宮頸管の粘液を変化させて精子の侵入を防ぐことで高い避妊効果が期待できる経口避妊薬です。
さらに、子宮内膜を薄く保つ作用もあり、受精卵が着床しにくい環境をつくることで、避妊の確実性を高めます。
正しく服用することで高い避妊効果が期待できますが、飲み忘れると効果が低下するため、注意が必要です。
低用量ピル・ミニピルの避妊率
- 正確な使用での避妊率:99%以上
- 一般的な使用(飲み忘れ等)での避妊率:約91%
- 参考:MSD_経口避妊薬
2.ミレーナ
ミレーナは、子宮内に挿入する小さなT字型の避妊具で、最長5年間の長期避妊が可能です。
レボノルゲストレル(黄体ホルモン)を持続的に放出することで、子宮内膜を薄くし、受精卵の着床を防ぐとともに、子宮頸管の粘液を変化させて精子の侵入を防ぐ効果があります。
ミレーナの避妊率
- 5年間の累計避妊率:約98.6~99.1%
- 参考:MSD_子宮内避妊器具
3.避妊インプラント
避妊インプラントは、上腕の皮下に細いスティック状のホルモン剤を埋め込む避妊法で、約3年間持続する避妊効果があります。
低用量ピルやミニピルのように、飲み忘れのリスクがなく、長期間安定した避妊効果が続くことが特徴です。
避妊インプラントの避妊率
- 1年目の累計避妊率:約99.9%
- 参考:MSD_皮下インプラント
4.避妊注射
避妊注射は、3か月に1回の注射で高い避妊効果を発揮する避妊方法の一つです。
排卵を抑え、受精を阻止することで妊娠を防ぎます。ピルやミレーナと同様に、高い避妊効果が期待できます。
避妊注射の避妊率
- 正確な使用での避妊率:約99.8%
- 一般的な使用(打ち忘れ等)での避妊率:約94%
- 参考:MSD_プロゲスチン注射による避妊法
5.アフターピル
アフターピルは、避妊に失敗した後に服用することで妊娠を防ぐ緊急避妊薬です。
レボノルゲストレルは避妊失敗から72時間以内、ウリプリスタールは120時間以内に服用することで、高い避妊効果を発揮します。
ただし、服用が早ければ早いほど効果が高いため、できるだけ早く服用することが推奨されます。
アフターピルの避妊率
- レボノルゲストレルの避妊率:約97.5%
- ウリプリスタールの避妊率:約98.5%
- 参考:MSD_緊急避妊
6.コンドーム
コンドームは、精子が膣内に入るのを防ぐバリア法の避妊具です。
また、性感染症の予防にも有効なため、他の避妊方法と併用することで、より安心して避妊を行うことができます。
ただし、コンドームは、装着ミスや破損のリスクがあるため、正しく使用することが大切です。適切なサイズを選び、使用方法を守ることで、避妊効果を最大限に高められます。
もしコンドームが外れたり、破れてしまった場合は、アフターピルの服用を検討し、早めに婦人科に相談しましょう。
男性用コンドームの避妊率
- 正確な使用での避妊率:約98%
- 一般的な使用での避妊率:約82%
男性用コンドームの避妊率
- 正確な使用での避妊率:約95%
- 一般的な使用での避妊率:約79%

避妊してたのに妊娠した体験談はありますか?

はい、避妊をしていても妊娠するケースはあります。実際に、毎年数名の患者さまが「避妊していたのに妊娠した」と相談に来られます。どの避妊方法でも、100%妊娠を防ぐことはできません。そのため、確実性の高い避妊方法を継続しつつ、万が一のときにはアフターピルを活用することが大切です。また、避妊や妊娠について不安を感じたときに、いつでも相談できる婦人科を持っておくと、いざというときに安心ですね。
避妊方法を比較|メリット・デメリット一覧表
避妊方法にはさまざまな種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
ライフスタイルや体質、避妊の確実性を考慮し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ピル | ・高い避妊率 ・生理痛や月経量の軽減、肌荒れ改善 ・費用が安い | ・毎日服用が必要 ・飲み忘れると避妊率が低下する |
ミレーナ | ・長期間有効(約5年) ・飲み忘れの心配がない ・月経困難症の治療時は保険適用 | ・挿入時の痛み ・不正出血の可能性 |
避妊 インプラント | ・長期間有効(約3年) ・飲み忘れの心配がない | ・挿入時の痛み ・不正出血の可能性 ・費用が高い |
避妊注射 | ・3か月ごとに1回の注射で済む ・飲み忘れの心配がない | ・生理周期が不規則になる可能性 |
コンドーム | ・性感染症の予防が可能 ・コンビニなどで手軽に入手できる | ・装着ミスや破損のリスク ・避妊率が他の方法より低め |

どの避妊方法が一番おすすめですか?

避妊方法は、患者さまのライフスタイルやタイミングによって最適なものが異なります。一概に「これが一番おすすめ」とは言えませんが、特にお問い合わせが多いのは、ピルと避妊インプラントです。また、経産婦の方は、ミレーナを選ばれるケースも多いです。患者さまに合った避妊方法をご提案しますので、ぜひお気軽にご相談くださいね。
外だしの妊娠率とは

「外だし(膣外射精)」について、明確な妊娠率を示すデータはありません。
しかし、射精の前に分泌されるカウパー液にも精子が含まれる可能性があるため、妊娠のリスクはあります。
また、外だしは避妊法としては不確実であり、「外に出せば大丈夫」と考えるのは非常にリスクが高いです。
タイミングのずれや精子の混入によって、意図せず妊娠してしまう可能性があります。
確実に避妊をしたい場合は、性交渉の最初からコンドームを正しく装着することや、ピル・ミレーナなどの避妊方法を併用するなど、信頼性の高い避妊方法を選ぶことが大切です。
福岡で避妊相談ができる婦人科なら
ひよりレディースクリニック福岡博多は、さまざまな避妊方法を取り扱っている婦人科です。
「女性主体の避妊方法を行いたい」「どの避妊方法が自分に合っているかわからない」このようなお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
患者さま一人ひとりのライフスタイルやご希望に合わせて、最適な避妊方法をご提案いたします。
避妊方法のよくあるご質問
ドロエチには避妊効果はありますか?
ドロエチは、月経困難症による生理痛の緩和などを目的とした超低用量ピル(LEP)です。一般的な低用量ピルに比べてエストロゲンの配合量が少ないため、避妊目的では使用されません。避妊を希望される場合は、低用量ピルや他の適切な避妊方法をご検討ください。
避妊ゼリーは効果がありますか?
はい、避妊ゼリー(殺精子剤)は、精子の動きを抑えることで妊娠を防ぐ効果があります。避妊率は典型的な使用で約86%とされています。(参考:MSD_バリア法による避妊)ただし、単独での避妊効果はやや低めのため、コンドームなど他の避妊方法と併用することをおすすめします。
40代の夫婦ですが避妊すべきですか?
はい、妊娠を望まない場合は、40代の方でも避妊を考えることが大切です。40代でも予期せぬ妊娠をする可能性はあり、中には人工妊娠中絶を選択される方もいらっしゃいます。 そのため、ご自身のライフプランに合わせた避妊方法を選ぶことが大切です。当院では、40代の方におすすめの避妊方法として、ミニピルの服用やミレーナの挿入をご提案しております。 どの方法がご自身に合っているか、一緒に考えていきましょう。ぜひお気軽にご相談ください。
閉経後の避妊は不要ですか?
いいえ、閉経直後であっても、一定期間は避妊を続けることをおすすめします。ピルやミレーナなどの避妊方法は基本的に必要ありませんが、最終月経から1年間は妊娠の可能性が完全になくなったと判断できないため、避妊を継続することが大切です。特に40代後半~50代前半の方は、月経が不規則になっても、しばらく排卵が続いている可能性があります。確実に閉経したと判断できるまでは、コンドームを使用した避妊を続けると安心です。
ゴムなしで外だしした場合の妊娠確率はどのくらいですか?
外だし(膣外射精)は避妊法として確実ではなく、妊娠のリスクがあります。膣外射精の妊娠確率を正確に示すことは難しいものの、射精前に分泌されるカウパー液にも精子が含まれる可能性があり、少量でも膣内に入ると妊娠につながることがあります。また、射精のコントロールが完全でない場合、意図せず膣内に精液が入るリスクも高まるため、避妊法としては推奨されません。
外だしして妊娠した人はいますか?
はい、外だし(膣外射精)をしていても妊娠するケースはあります。実際に、「外だししていたのに妊娠した」と驚かれる患者さまもいらっしゃいます。膣外射精は避妊方法としては不十分であり、確実に妊娠を防ぐことはできません。妊娠を望まない場合は、ご自身のライフスタイルに合ったより確実な避妊方法を取り入れることが大切です。
生理中の性行為では妊娠しないって本当ですか?
いいえ、生理中でも絶対に妊娠しないとは言い切れません。精子は子宮内で最長一週間ほど生存する可能性があり、生理周期が乱れると、生理後の早い段階で排卵が起こることもあるためです。妊娠の可能性は低いとはいえ、「生理中なら絶対に大丈夫」と思い込むのはリスクがあります。避妊をせずに性行為をすると、思いがけない妊娠につながる可能性があるため、注意が必要です。
生で性行為をしてもピルを飲んでいれば避妊率は高いですか?
はい、ピルは正しく服用すれば99%以上の高い避妊効果があるとされています。ただし、飲み忘れや服薬時間のズレ、下痢や嘔吐、飲み合わせに注意が必要な薬の影響などにより、効果が低下する可能性があるため、注意が必要です。なお、ピルは性感染症を防ぐことはできません。そのため、安全な性行為のためには、ピルとコンドームを併用することが推奨されます。