ひよりレディースクリニック福岡博多は、性病の検査や治療ができる婦人科です。
本記事では、性病の概要をはじめ、種類ごとの症状や潜伏期間、検査を受けるタイミングの目安、治療方法について詳しく解説します。さらに、どの診療科を受診すべきかや、性行為後にできる対策についても分かりやすくご紹介します。
目次

性病(性感染症)とは
性病(性感染症)とは、主に性行為を通じて感染する病気の総称です。
感染すると自覚症状が出る場合もありますが、無症状のまま進行することも多く、気づかないうちにパートナーへ感染させるリスクがあります。
適切な検査と治療を受けることで、多くの性病は完治可能です。一方で、一部の感染症は慢性化し、長期的な健康への影響を及ぼすこともあります。
性病は、早期発見・早期治療が大切です。

何も症状がないのに、性病にかかっていることがあるのですか?

はい、性病の中には無症状のまま進行するものもあります。実際に、妊娠された方が必ず受ける感染症検査で、初めて感染が分かるケースも少なくありません。症状がないと検査のタイミングが難しいですが、例えば健康診断の機会に性病検査を受ける習慣をつけるのも一つの方法です。
性病の種類と症状・潜伏期間
性病にはさまざまな種類があり、それぞれ症状や潜伏期間が異なります。
無症状のまま進行する感染症も多く、症状が現れたときにはすでに他者へ感染させている可能性があります。
そのため、早期の検査と治療が重要です。
以下に代表的な性病とその症状、感染経路について詳しく解説します。
クラミジア
症状 | おりものの異常、下腹部痛、不正出血、性交時の痛み(潜伏期間:約1~3週間) |
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クラミジアは、クラミジア・トラコマチスという細菌による感染症で、特に若年層の女性に多くみられます。
初期症状がほとんどないため、自覚しないまま感染が広がることが多い特徴があります。
感染が進行すると、子宮頸管炎、尿道炎、骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こし、不妊や子宮外妊娠のリスクを高めることがあります。
クラミジアの感染経路
クラミジアは、膣性交・口腔性交・肛門性交を通じて感染します。
オーラルセックスによって喉へ感染することもあり、咽頭クラミジアとして発症することもあります。
淋病(淋菌感染症)
症状 | 排尿時の痛み、おりものの異常、頻尿、性交時の痛み(潜伏期間:約2~7日) |
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淋病は、淋菌による性感染症で、特に若年層の女性に多くみられます。
感染しても症状が軽い、または無症状のまま進行することが多いため、気づかずに感染を広げてしまうリスクが高い特徴があります。
症状が現れた場合、排尿時の痛みや頻尿、おりものの異常(黄色や緑がかった膿のようなおりもの)、性交時の痛みが主なサインとなります。
放置すると子宮頸管炎や卵管炎を引き起こし、不妊や子宮外妊娠のリスクが高まることがあります。
淋病の感染経路
淋病は主に性行為(膣・口・肛門)を介して感染し、母子感染による新生児結膜炎のリスクもあります。
HIV・エイズ
症状 | 初期は風邪のような症状(発熱、リンパ節の腫れ、筋肉痛、倦怠感)、進行すると免疫低下(潜伏期間:約2週間~4週間の急性期、その後無症状期間が数年) |
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HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は免疫細胞(CD4陽性T細胞)を破壊するウイルスで、感染すると免疫機能が徐々に低下します。
HIVは無症状の期間が長いため、感染に気づかずに他者へ広げる可能性があります。進行すると免疫機能が著しく低下し、エイズ(後天性免疫不全症候群)を発症し、重篤な感染症や悪性腫瘍のリスクが高まります。
現在、HIVは適切な治療を受けることでエイズ発症を抑え、長期的な健康維持が可能となっています。早期の検査・治療が非常に重要です。
HIV・エイズの感染経路
HIVは、血液・精液・膣分泌液・母乳を介して感染します。性行為、輸血、母子感染、注射器の共用が主な感染経路です。
梅毒
症状 | しこり、発疹、進行すると神経障害(潜伏期間:約3週間) |
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梅毒は梅毒トレポネーマという細菌による感染症で、進行性の病気です。
感染後、第1期から第3期(場合によっては第4期)まで段階的に症状が変化し、放置すると全身に深刻な影響を及ぼします。
初期症状は自然に消えることがあり、気づかないまま感染が進行することが多いことが特徴です。
早期に抗生物質(ペニシリン)を適切に投与すれば、後遺症を残すことなく治癒が可能です。
梅毒の感染経路
主に性行為(膣・口・肛門)を通じて感染します。また、母子感染により胎児に感染し、先天性梅毒を引き起こすこともあります。
性器ヘルペス
症状 | 外陰部の水ぶくれ、痛み、発熱(潜伏期間:約2~10日) |
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単純ヘルペスウイルス(HSV-1、HSV-2)による感染症で、一度感染すると体内に潜伏し、ストレスや免疫低下により再発しやすいことが特徴です。
初感染時には強い痛みを伴うことが多く、再発時は軽度の症状になることが一般的です。
性器ヘルペスの感染経路
皮膚や粘膜の接触により感染します。オーラルセックスでも口唇ヘルペスが性器ヘルペスに移ることがあります。
カンジダ
症状 | かゆみ、白いカス状のおりもの(潜伏期間:個人差あり) |
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真菌(カンジダ菌)が異常増殖することで発症します。
通常は常在菌として存在しますが、抗生物質の使用、ストレス、ホルモンバランスの変化などが原因で増殖し、膣カンジダ症を引き起こします。
カンジダの感染経路
外部からの感染というよりも、体調不良や免疫低下による自己増殖が主な発症要因です。
HPV(ヒトパピローマウイルス)
症状 | 尖圭コンジローマ(イボ)、子宮頸がんのリスク(潜伏期間:数か月~数年) |
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HPV(ヒトパピローマウイルス)は、皮膚や粘膜に感染するウイルスで、種類によって引き起こす疾患が異なります。
HPVには100種類以上の型があり、主に低リスク型(良性のイボ:尖圭コンジローマ)と高リスク型(がんの原因となる型)に分類されます。
HPVの感染経路
HPVは、皮膚・粘膜の接触によって感染します。
接触する皮膚の範囲が広いため、コンドームでは完全に防ぐことは難しいとされています。
ただし、HPVワクチン(9価ワクチンなど)を接種することで、主要な高リスク型・低リスク型の感染を予防できます。
HPVワクチンを詳しく知るマイコプラズマ・ウレアプラズマ
症状 | 軽度の炎症症状、無症状の場合も(潜伏期間:約2~5週間) |
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マイコプラズマ・ウレアプラズマは、細菌とウイルスの中間的な特徴を持つ病原体で、クラミジアや淋病と似た症状を引き起こしますが、無症状のまま経過することも多いという特徴があります。
感染すると、尿道炎、膣炎、子宮頸管炎を引き起こすことがあり、排尿時の違和感や軽い痛み、不正出血などがみられることがあります。
進行すると、骨盤内炎症性疾患(PID)や子宮内膜炎の原因となり、不妊や流産のリスクを高める可能性があります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの感染経路
主に性行為(膣・口・肛門)で感染しますが、オーラルセックスによる咽頭感染の可能性もあります。
トリコモナス
症状 | 泡状のおりものが増え、強いかゆみを感じることが多い(潜伏期間:約1~4週間) |
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トリコモナス症は、腟トリコモナスという原虫によって引き起こされる性感染症で、膣や尿道に感染します。
感染すると、膣が過敏になり、泡状で黄緑色の生臭いおりものが増えたり、排尿時・性交時に痛みや違和感を覚えたりすることがあります。
感染していても症状が軽かったり、無症状のまま経過することがあるため、気づかないうちにパートナーへ感染させるリスクがあります。
トリコモナスの感染経路
性行為(膣・口・肛門)のほか、タオルや浴場を介して感染することもあります。
トリコモナスは他の性病と異なり、水分のある環境で一定時間生存できるため、タオルや浴場、便座の使用を通じて間接的に感染する可能性があります。
ただし、性行為による感染が主な経路であり、リスクが高いため、感染の疑いがある場合は早めの検査と治療が推奨されます。
B型肝炎
症状 | 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)、腹痛(潜伏期間:約1〜6か月) |
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B型肝炎ウイルス(HBV)に感染すると、急性肝炎を発症し、倦怠感や食欲不振、発熱、黄疸などの症状が現れることがあります。
一部は慢性化し、肝硬変や肝がんのリスクが高まることがあります。無症状のまま感染が持続するケースもあるため、定期的な検査が推奨されます。
B型肝炎の感染経路
B型肝炎ウイルスは血液や体液(精液、膣分泌液、唾液など)を介して感染します。
C型肝炎
症状 | 倦怠感、食欲不振、黄疸、関節痛(潜伏期間:約2週間〜6か月) |
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C型肝炎ウイルス(HCV)に感染すると、多くの場合は初期症状がほとんどありません。
しかし、感染が慢性化すると肝炎が持続し、肝硬変や肝がんへ進行することがあります。
B型肝炎と異なり、C型肝炎は治療を受けなければ慢性肝炎へ移行するリスクが高いため、早期発見・早期治療が重要です。
C型肝炎の感染経路
性行為のほか、汚染された注射器や医療器具の使用、輸血、刺青やピアスの器具を介した感染を介して感染することもあります。
一般細菌
症状 | 強いにおいのおりものの増加、膣の不快感、かゆみ、軽度の痛み |
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膣内には常在菌がバランスを保ちながら存在していますが、そのバランスが崩れることで細菌性膣炎を引き起こすことがあります。
主な原因として、過度な洗浄、ストレス、ホルモンバランスの変化、性行為による影響などが挙げられます。
症状は、強いにおいを伴う薄い灰色~白っぽいおりものが増えることが多く、特に月経前後や性行為後ににおいが強くなることがあります。
一般細菌の感染経路
性行為を通じて新たな細菌が持ち込まれることもありますが、日常生活の中でも発症することがあり、必ずしも性病とは限りません。
性病の検査方法
性病(性感染症)の検査は、感染が疑われる病原体や症状に応じて適した方法が選ばれます。
感染直後では検出できない場合もあるため、適切な検査時期を守ることが正確な診断につながります。
こちらでは、代表的な検査方法について詳しく解説します。
尿検査
対象疾患 | クラミジア、淋病 |
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尿を採取して病原体のDNAを検出する方法です。特に尿道に感染するクラミジアや淋病の診断に適しています。
検査のポイント
- 感染直後では検出が難しく、感染の疑いがある行為から1週間程度経過してからの検査が推奨されます。
- 正確な検査結果を得るため、検査前の2時間程度は排尿を控えるのが望ましいとされています。
血液検査
対象疾患 | HIV、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、骨盤内クラミジア感染 |
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血液中の抗体やウイルスの有無を調べる検査です。
検査のポイント
- HIVや梅毒は感染初期には抗体が検出されにくいため、一定期間を空けて再検査が必要です。
- HIV検査は、感染の疑いがある行為から4週間以降が推奨されます(ウィンドウピリオド期間に注意)
- B型肝炎・C型肝炎は、感染の疑いがある行為から1~2か月後に受けるとより正確な結果が得られます。
膣分泌物検査(おりもの検査)
対象疾患 | クラミジア、淋病、トリコモナス、カンジダ、マイコプラズマ、 ウレアプラズマ |
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膣の分泌物を採取し、顕微鏡や培養検査で病原体の有無を調べる検査です。
検査のポイント
- カンジダは真菌(カビ)の一種で、顕微鏡検査により容易に確認できます。
- トリコモナスやマイコプラズマ・ウレアプラズマは顕微鏡での検出が難しいため、培養検査やPCR検査を併用すると診断の精度が向上します。
- クラミジア・淋病も膣分泌物から検出可能ですが、尿検査と併用することでより正確な診断が可能です。
視診・組織検査
対象疾患 | 尖圭コンジローマ、性器ヘルペス |
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視診(医師が目視で判断)や、病変部の組織を採取して調べる検査です。
検査のポイント
- 尖圭コンジローマ(性器イボ)は、視診である程度判断できますが、診断を確定する病理検査が推奨されます。
- 性器ヘルペスは、症状がある場合は視診で診断可能ですが、抗原検査や細胞診、血清抗体価測定法が用いられることもあります。
PCR検査
対象疾患 | クラミジア、淋病、マイコプラズマ・ウレアプラズマ、HPVなど |
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PCR検査は、病原体の遺伝子(DNAやRNA)を増幅して検出する方法で、非常に高い精度で診断が可能です。
検査のポイント
- 培養検査では検出が難しいマイコプラズマ・ウレアプラズマの診断に特に有効です。
- クラミジアや淋病の診断にも使用され、尿検査・膣分泌物検査と組み合わせることで正確性が向上します。
- HPVの遺伝子型を特定するPCR検査も一般的で、高リスク型・低リスク型の判別に用いられます。
性病検査の費用
ひよりレディースクリニック福岡博多で行う性病検査の費用(自費)は、以下の通りです。
クラミジア | 3,300円 |
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淋病 | 3,300円 |
クラミジア+淋病 | 4,400円 |
HIV | 2,800円 |
梅毒 | 2,200円 |
単純ヘルペス | 2,500円 |
カンジダ | 1,200円 |
尖圭コンジローマ | 2,500円 |
マイコプラズマ・ トリコモナス | 6,600円 |
トリコモナス | 1,500円 |
B型肝炎 | 2,200円 |
C型肝炎 | 2,200円 |
成人T細胞白血病 | 3,300円 |
性病検査セット<A> クラミジア・淋菌 マイコプラズマ・ トリコモナス | 9,300円 |
性病検査セット<B> クラミジア・淋菌 梅毒・HIV マイコプラズマ・ トリコモナス | 14,200円 |
性病検査セット<C> クラミジア・淋菌 梅毒・HIV B型肝炎 マイコプラズマ・ トリコモナス | 16,400円 |
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性病検査を受けるタイミングの目安
性病(性感染症)は、感染直後では検査を受けても正確な結果が出ないことがあります。
病原体によって潜伏期間が異なるため、適切なタイミングで検査を受けることが重要です。
特に、感染の可能性がある行為のあと、どれくらい経過すれば正確な検査ができるのかを知っておくことで、より確実な診断につながります。
以下に、主な性病ごとの検査を受ける目安をご紹介します。
性病 | 検査が可能な時期 |
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クラミジア | 感染の機会から24時間経過後 |
淋病 | 感染の機会から24時間経過後 |
HIV | 確定検査は感染の機会から3か月経過後 |
梅毒 | 感染の機会から 即日検査:2か月経過後 精密検査:28日経過後 |
性器ヘルペス | 確定検査は感染の機会から3か月経過後 |
カンジダ | 感染の機会から24時間経過後 |
尖圭コンジローマ | 症状がある場合はすぐに |
マイコプラズマ・ ウレアプラズマ | 感染の機会から24時間経過後 |
トリコモナス | 感染の機会から24時間経過後 |
B型肝炎 | 感染の機会から1か月経過後 |
C型肝炎 | 感染の機会から1か月経過後 |
性病の治療方法
性病の治療は、感染症の種類に応じて抗生物質・抗ウイルス薬・抗真菌薬・抗原虫薬などが使用されます。
適切な治療を受けることで、多くの性病は治療が可能ですが、一部のウイルス性感染症(HIV・性器ヘルペス・HPVなど)は完治せず、症状のコントロールが必要です。
以下で性感染症の種類ごとの治療について、詳しく解説します。
クラミジアの治療
治療薬 | 抗生物質(マクロライド系・テトラサイクリン系・ニューキノロン系) |
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クラミジアの治療にはアジスロマイシン(単回投与)またはレボフロキサシン(1週間)を使用することが一般的です。
注意点:
- 無症状のケースが多いため、パートナーも同時に検査や治療を受けることが重要です。
- 放置すると卵管炎や骨盤内炎症性疾患(PID)を引き起こし、不妊症の原因となることがあります。
- 症状がなくても感染している可能性があるため、性行為の機会がある方は定期的な検査を推奨します。
淋病(淋菌感染症)の治療
治療薬 | 抗生物質(セフェム系・アミノグリコシド系) |
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淋病の治療には、セフトリアキソン(静注)やスペクチノマイシン(筋注)を使用することが一般的です。
注意点
- 近年、薬剤耐性菌が増加しており、適切な抗菌薬の選択が重要です。
- 性器だけでなく、咽頭(のど)や直腸にも感染することがあるため、必要に応じて咽頭淋病の検査を受けることが推奨されます。
- 治療せずに放置すると、子宮頸管炎や卵管炎を引き起こし、不妊症の原因となるほか、菌が血流に入り敗血症を引き起こすこともあります。
HIVの治療
治療薬 | 抗HIV薬(ART:抗レトロウイルス療法) |
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ドルテグラビル、ビクテグラビルなどの配合薬が一般的に使用されます。
これらの薬はHIVの増殖を抑え、体内のウイルス量(ウイルス量=HIV RNA)を検出限界以下に維持することで、免疫機能を保ちます。
注意点
- HIVは現在の医療では完治できませんが、適切な治療を継続することでエイズ(後天性免疫不全症候群)の発症を防ぎ、健康な人と同じような寿命を保つことが可能です。
- 治療は生涯にわたって継続する必要があり、服薬を中断するとウイルスが再び増殖し、免疫機能が低下するリスクがあります。
- HIV感染の予防策として、PrEP(曝露前予防)やPEP(曝露後予防)の使用が推奨されています。
梅毒の治療
治療薬 | 抗生物質(ペニシリン系) |
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梅毒の治療には、一般的にはペニシリンなどの抗菌薬の注射や内服加療を行います。
ペニシリンアレルギーがある場合は、ミノサイクリン塩酸塩やスピラマイシン酢酸エステルなどの他の抗生物質が使用されることもあります。
注意点
- 第3期梅毒(進行梅毒)になると、神経や心血管系に深刻な障害が残るため、早期発見・早期治療が重要です。
- 治療後も定期的な血液検査を行い、抗体価の低下を確認する必要があります。
- 症状が消えても完全に治癒したとは限らず、再感染や治療の不十分を防ぐためにも、医師の指示に従ってフォローアップを続けることが大切です。
性器ヘルペスの治療
治療薬 | 抗ウイルス薬 |
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初感染時は、抗ウイルス薬の内服や点滴でウイルスの増殖を抑え、症状を軽減します。再発時も同様の抗ウイルス薬を使用し、症状が軽いうちに早期治療を行うことが重要です。
注意点
- 単純ヘルペスウイルス(HSV-1、HSV-2)は神経節に潜伏するため、ウイルスを完全に排除することはできず、再発しやすい特徴があります。
- 再発を繰り返す場合や症状が重い場合は、「長期抑制療法(予防的な内服)」を行うことで、発症頻度を減らすことができます。
- ストレスや免疫低下が再発の引き金となるため、生活習慣の見直しや免疫力の維持も重要です。
- パートナーへの感染リスクがあるため、症状が出ている期間は性行為を控え、コンドームの使用や適切な感染対策を行うことが推奨されます。
カンジダの治療(真菌感染)
治療薬 | 抗真菌薬 |
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ミコナゾール(膣錠・軟膏)、フルコナゾール(内服薬)が一般的に使用されます。
軽症の場合は膣錠や軟膏の局所治療、再発を繰り返す場合は内服薬による全身治療が行われることがあります。
注意点
- カンジダは常在菌であり、免疫低下やストレス、抗生物質の使用などが原因で異常増殖し、症状を引き起こします。
- 再発しやすいため、疲労やストレスの管理、通気性の良い下着の着用など、生活習慣の見直しが予防に役立ちます。
- 膣カンジダ症は性病ではありませんが、性行為によって発症のきっかけとなることがあり、パートナーにも症状が現れることがあります。
- 自己判断で市販薬を使用すると、症状が改善しない場合や別の疾患と見分けがつかないことがあるため、違和感が続く場合は医療機関の受診を推奨します。
尖圭コンジローマの治療
治療薬 | 塗り薬・冷凍凝固・レーザー治療・外科的切除 |
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ベセルナクリームは、身体の免疫反応を活性化させることでウイルスを抑え、イボを除去する塗り薬です。液体窒素による凍結療法(冷凍凝固)は、イボを凍結し、自然に剥がれ落ちるよう促す方法です。
液体窒素による凍結療法(冷凍凝固)は、イボを凍結し、自然に剥がれ落ちるよう促す方法です。
また、大きなイボや広範囲に広がった場合には、レーザー治療や外科的切除が適用されることもあります。
注意点
- 尖圭コンジローマは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染によって発症するため、ウイルス自体を完全に排除する治療法はありません。
- 治療後も再発する可能性が高いため、完治するまで定期的な経過観察が必要です。
- HPVワクチン(9価ワクチンなど)の接種により、尖圭コンジローマの原因となるHPVの型(6型・11型)を予防することが可能です。
- HPVは皮膚・粘膜の接触によって感染するため、コンドームでは完全に防ぐことが難しく、パートナーへの感染リスクについても考慮する必要があります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療
治療薬 | 抗生物質(マクロライド系・テトラサイクリン系・ニューキノロン系) |
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アジスロマイシン(マクロライド系)、ドキシサイクリン(テトラサイクリン系)、モキシフロキサシン(ニューキノロン系)などが使用されます。
注意点
- パートナーへの感染を防ぐため、症状がなくても性行為をする相手も検査・治療を受けることが推奨されます。
- 治療期間中は性行為を控え、完治を確認するために治療終了後に再検査を行うことが望ましいです。
- 薬剤耐性菌が増加しているため、適切な抗菌薬の使用が重要です。症状が改善しない場合は、別の抗生物質への変更が必要になることもあります。
トリコモナスの治療
治療薬 | 抗原虫薬 |
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トリコモナスの治療には、メトロニダゾール(内服薬・膣錠)、チニダゾール(内服薬)が一般的に使用されます。
注意点
- パートナーも同時に検査・治療を受けないと再感染のリスクが高まるため、性行為をする相手と一緒に治療することが推奨されます。
- アルコールと一緒にメトロニダゾールを服用すると、吐き気や頭痛などの副作用が強く出ることがあるため、治療期間中は飲酒を控えることをおすすめします。
- 免疫力が低下していると再感染しやすいため、生活習慣の見直しも予防に役立ちます。
- タオルや浴場を介した感染の可能性もあるため、感染中はタオルや下着を共用しないよう注意が必要です。
B型肝炎の治療
治療薬 | 抗ウイルス薬(核酸アナログ製剤)・インターフェロン |
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慢性肝炎の治療には、エンテカビルやテノホビル(経口薬)が一般的に使用されます。
注意点
- 急性肝炎(感染後6か月以内)は特別な治療をせず、経過観察が基本です。ほとんどの場合、自然治癒しますが、一部の人では劇症肝炎に進行するリスクがあるため、慎重な管理が必要です。
- 慢性化すると肝硬変や肝がんのリスクが高まるため、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス療法が行われます。
- B型肝炎ワクチンの接種により、感染を予防することが可能です。特に医療従事者や感染リスクの高い人は、定期的な抗体検査とワクチン接種が推奨されます。
- B型肝炎は母子感染のリスクが高いため、感染している妊婦さんには適切な管理が必要です。
C型肝炎の治療
治療薬 | 直接作用型抗ウイルス薬(DAA) |
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C型肝炎の治療には、ソフォスブビル、レジパスビル、グレカプレビルなどが一般的に使用されます。
これらの薬はC型肝炎ウイルス(HCV)の増殖を抑え、肝臓の炎症やダメージを防ぐことで、病気の進行を食い止めます。
近年の治療法の進歩により、治療成功率は95%以上と高く、従来のインターフェロン療法よりも副作用が少なく、治療期間も短縮されています。
注意点
- B型肝炎とは異なり、C型肝炎にはワクチンが存在しないため、感染予防が特に重要です。
- 治療を受けた後も、定期的な肝機能検査やウイルスの再感染予防が必要です。
性病は何科を受診すべき?【一覧表あり】
性病(性感染症)は、症状や受診のしやすさに応じて婦人科・泌尿器科・皮膚科・性病科・感染症内科などで診察を受けることができます。
「どの診療科に行けばよいか迷っている」という場合は、まず婦人科や性病科に相談すると安心です。
気になる症状がある場合は、悪化を防ぐためにも早めの受診をおすすめします。
性病症状別|診療科一覧
症状 | 推奨される診療科 |
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おりものの異常 | 婦人科 |
外陰部のかゆみ・痛み・できもの | 婦人科・皮膚科 |
排尿時の痛み・頻尿・血尿 | 婦人科・泌尿器科 |
不正出血・下腹部痛 | 婦人科 |
尖圭コンジローマ(性器にイボ) | 婦人科・皮膚科 |
性器ヘルペス(外陰部に水ぶくれ・痛み) | 婦人科・皮膚科 |
全身に関わる性病の検査をしたい | 性病科・感染症内科 |
パートナーが性病と診断された | 婦人科・泌尿器科・性病科 |
ひよりレディースクリニック福岡博多でも、性病検査が可能です。ぜひお気軽にご相談ください。
無症状でも性病の可能性有
多くの性病(性感染症)は、無症状のまま進行します。
「性病=症状が出るもの」と思われがちですが、症状がないからといって感染していないとは限りません。
感染していても痛みや違和感がなく、気づかないまま放置されることが多いため、知らず知らずのうちにパートナーへ感染を広げてしまう可能性があります。
さらに、治療を受けないまま進行すると、深刻な合併症を引き起こすこともあるため注意が必要です。
初期に無症状の性病一覧
性感染症の中には、初期段階では体に大きな変化をもたらさないものが多く、感染に気づきにくい特徴があります。特に以下の性病は、無症状であることが多いです。
- クラミジア(約7割が無症状)
- 淋病(約5割が無症状)
- HIV(感染初期は風邪のような症状が出るが、その後無症状に)
- 梅毒(一時的に症状が消えることがある)
- HPV(高リスク型は無症状)
- マイコプラズマ・ウレアプラズマ(ほとんど無症状)
無症状でも性病を早期発見するために
定期的な性病検査
複数のパートナーがいる場合や避妊なしの性行為をした場合は、半年~1年に一度の検査を推奨します。
妊娠を希望している方、妊娠中の方は特に検査が重要です。
感染リスクを減らすためにコンドームを使用
コンドームを正しく使用することで、クラミジア・淋病・HIVなどの感染リスクを減らすことができます。
ただし、HPVや梅毒、性器ヘルペスなどの皮膚接触で感染する病気は完全に防げるわけではないため、検査との併用が重要です。
性行為後にできる性病対策
性病(性感染症)は、性行為によって感染することが多いため、行為の前だけでなく、行為後のケアも重要です。
もし性行為後に「感染のリスクがあるかもしれない」と感じた場合、できるだけ早く適切な対策を取ることで、感染のリスクを軽減できる可能性があります。
ただし、性行為後の対策を行ったとしても、100%感染を防ぐことはできません。
そのため、リスクのある行為をした場合は、適切な時期に性病検査を受けることも重要です。
排尿で尿道を清潔にする
性行為後に排尿することで、尿道内の細菌やウイルスを洗い流し、感染リスクを減らすことができます。
特に、淋病やクラミジアの感染予防に有効とされています。
ただし、排尿だけで完全に防げるわけではないため、定期的な検査も必要です。
性器や周辺をぬるま湯で洗う
外陰部や性器周辺を、石鹸を使わず、ぬるま湯で優しく洗い流すことで、外部に付着した病原体を取り除くことができます。
ただし、強くこすったり、洗浄剤を使いすぎたりすると、膣内の常在菌バランスが崩れ、反対に感染リスクを高める可能性があるため注意が必要です。
うがいや口をすすぐ
オーラルセックスを行った場合、口腔内に病原体が付着している可能性があるため、早めにうがいや歯磨きをすることで一定の予防効果が期待できます。
特に咽頭クラミジアや咽頭淋病の感染予防に役立つ可能性がありますが、感染を完全に防ぐことはできないため、気になる場合は検査を受けることをおすすめします。
長期的な性病対策|感染リスクを減らすために
性行為後の対策だけでなく、普段から感染リスクを減らすための習慣を取り入れることも重要です。
定期的な性病検査
複数のパートナーがいる場合、避妊なしの性行為をした場合は、半年~1年に一度の検査を推奨します。
妊娠を希望する場合は、パートナーと一緒に検査を受けるのが理想的です。
性病によって検査可能なタイミングが異なるため、適切な時期に受けることが重要です。
コンドームを正しく着用
コンドームを正しく使用することで、クラミジア・淋病・HIVの感染リスクを大幅に低減できます。
ただし、HPV・梅毒・性器ヘルペスなど皮膚接触で感染する性病は完全には防げないため、定期検査が重要です。
ワクチン接種
HPVワクチンを接種すると、子宮頸がんや尖圭コンジローマのリスクを低減できます。
また、B型肝炎ワクチンを接種することで、性交渉による感染リスクを大幅に軽減できます。
性病かも?と不安な方は婦人科へ
「おりものの異常が気になる」「性器に違和感がある」「もしかして性病かも?」
そんな不安を感じたら、お早めにひよりレディースクリニック福岡博多までご相談ください。
性病(性感染症)は、症状がなくても感染していることがあり、気づかないうちに進行することがあります。
しかし、適切な検査と治療を受ければ、多くはきちんと治療が可能です。
病院へ行くのをためらう方もいらっしゃるかもしれませんが、不安を抱えたまま過ごすよりも、早めに検査を受けることで安心につながります。
当院では、患者さまのプライバシーに配慮し、落ち着いて受診できる環境を整えています。
お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
性病のよくあるご質問
性病は自然に治ることはありますか?
ほとんどの性病は、治療しなければ完治しません。一部(カンジダなど)は免疫力の回復で自然に改善することもありますが、多くの性病は放置すると悪化したり、他の人に感染させたりするリスクがあります。症状の有無に関わらず、定期的な検査と早期治療を受けることが大切です。
性病検査はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
性行為の頻度やパートナーの数にもよりますが、複数のパートナーがいる方は半年~1年に一度の検査が推奨されます。避妊せずに性行為をした場合や、パートナーに性病の疑いがある場合は、早めに検査を受けましょう。
パートナーが性病と診断されました。私も検査を受けるべきですか?
はい、性病の多くは無症状のまま進行することがあるため、パートナーが診断された場合は必ず検査を受けてください。また、性病はどちらか片方だけが治療を受けても、もう一方が未治療の場合、再感染を繰り返すことがあります。そのため、パートナーと一緒に検査・治療を受けることが重要です。
性病の治療中でも性行為をしても大丈夫ですか?
治療が完了するまで性行為は控えることが基本です。完治前に性行為を行うと、パートナーへの感染や再感染のリスクが高くなります。特にクラミジアや淋病、梅毒、トリコモナスなどは、治療中に再び感染すると治療効果が十分に得られない可能性があります。医師から「治療が完了した」と判断されるまでは、性行為を控えることが大切です。
性病検査は受けた方がいいのですか?
はい、性行為の経験がある方や、複数のパートナーがいる場合は、定期的に性病検査を受けることが推奨されます。性病の多くは無症状のまま進行することがあるため、「症状がない=感染していない」とは限りません。受診のタイミングが難しいと感じる場合でも、健康診断と同じように、ご自身の健康を守る習慣として年に一度の検査を取り入れるのも一つの方法です。
喉が痛いのですが、性病の可能性はありますか?
はい、性病の一部には咽頭感染を引き起こすものがあり、喉の痛みが症状として現れることがあります。ただし、喉の痛み=性病とは限らず、風邪やその他の感染症が原因である可能性もあります。心当たりがある場合や、不安がある場合は、一度検査を受けることをおすすめします。ひよりレディースクリニック福岡博多では、プライバシーに配慮した環境で診察・検査を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
薬局にある性病検査キットの精度は高いのですか?
性病検査キットの種類にもよりますが、中には比較的精度の高いものもあります。ただし、ご自身で採取するタイプの検査キットは、採取方法や検体の量によって正確な結果が得られにくい場合があります。そのため、検査結果を100%信頼することは難しく、陰性だからといって完全に安心できるわけではありません。より正確な検査を希望する場合は、医療機関で医師が採取・診断する検査のほうが信頼性が高いといえます。ただし、受診のハードルが高いと感じる方にとって、検査キットは手軽に利用できるというメリットがあります。もし検査キットで陽性の結果が出た場合は、必ず医療機関を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることが大切です。