ひよりレディースクリニック福岡博多は、性交痛のお悩みをご相談いただける婦人科です。
本記事では、性交痛の概要、入口や奥の痛みがある原因、治し方、予防対策について、詳しく解説します。
目次

性交痛とは?どんな痛み?
性交痛とは、性行為の最中や前後に感じる痛みのことです。
痛みの強さや場所は人それぞれで、膣の入り口付近に感じる場合もあれば、奥の方に痛みが出ることもあります。
痛みの種類も多様で、一時的なヒリヒリ感やチクチクした痛みから、持続的な不快感までさまざまです。
性交痛は、どの年代の方でも起こり得ます。初めての性行為で痛みを感じる場合もあれば、加齢や体調の変化とともに現れることもあります。
「我慢すれば大丈夫」と思わず、違和感が続く場合は早めに婦人科を受診することが大切です。

性交痛はデリケートな問題なので、相談できる人がいないです...

そのお気持ちはとてもよくわかります。実際に、患者さまの多くが「誰にも言えなくて…」と悩まれながらご相談に来られます。でも、婦人科医は女性特有のお悩みを解決する専門家です。性交痛にはさまざまな原因があり、治療や改善策を一緒に考えることができます。どうぞ一人で抱え込まず、お気軽にご相談くださいね。
性交痛の主な原因
性交痛の原因は、身体的要因と心理的要因が複雑に関わっていることがあります。
痛みの場所によって考えられる原因は異なり、適切な対処法も変わります。ここからは、奥の痛みと入口の痛みに分けて、それぞれの代表的な原因をご紹介します。
性交痛で奥の痛みがある原因3つ

性交痛で奥の痛みがある場合は「深部性交痛」と言います。
この痛みは、子宮や卵巣、骨盤内に関連する疾患が原因となることがあります。
1.子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮や卵巣、直腸の周囲に癒着が生じやすい病気です。
この癒着により、骨盤の奥に痛みを伴う病変が現れることがあります。
特徴的なのは、性行為時だけでなく、月経時や排便時にも痛みが生じることです。痛みの程度には個人差があり、日常生活に支障をきたすほど強い場合もあります。
2.骨盤内炎症性疾患(PID)
骨盤内炎症性疾患(PID)は、骨盤内の感染が原因で発生する炎症です。
この炎症が子宮、卵管、卵巣などの臓器や周囲の組織に広がることで、痛みを引き起こします。
放置すると、不妊や慢性的な骨盤痛の原因になることもあるため、早期の治療が重要です。
3.子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮にできる良性の腫瘍です。
多くの場合、症状がないこともありますが、筋腫が大きい場合や特定の部位にできた場合、性行為時に圧迫感や痛みを感じることがあります。
また、筋腫の位置によっては、月経過多や貧血、下腹部の違和感などの症状が現れることもあります。
これらの疾患は放置すると悪化し、不妊などのリスクが高まるため、性交時の痛みや下腹部の違和感が続く場合は、婦人科を受診することをおすすめします。
性交痛で入口の痛みがある原因7つ

膣の入口に痛みを感じる場合、原因は多岐にわたりますが、主に以下のような要因が挙げられます。
1.心理的要因
性行為に対する恐怖や緊張、不安が強いと、膣周辺の筋肉が過度に緊張し、挿入時に痛みを感じることがあります。
この状態が続くと、痛みへの恐怖がさらに不安を強め、悪循環に陥ることもあります。
2.潤滑不足や前戯の不十分さ
潤滑が不十分な状態では、摩擦によって外陰部や膣の入口に痛みが生じることがあります。
これは、前戯が短い場合や、潤滑剤を使用していない場合に起こりやすいです。
痛みを軽減するためには、十分な前戯を行うことや、潤滑剤を適切に使用することが有効です。
3.外陰部の傷や炎症
外陰部に傷がある場合や、肌荒れ・炎症が起きている場合、挿入時に痛みを感じることがあります。
摩擦によって症状が悪化することもあるため、痛みや違和感がある場合は無理をせず、炎症が治まるまで様子をみることが大切です。
4.性感染症
カンジダ膣炎やトリコモナス膣炎などの性感染症は、膣や外陰部に炎症を引き起こし、痛みやかゆみを伴うことがあります。
性交痛に悩んでいた原因が、実は性感染症だったというケースも少なくありません。
5.処女膜強靭症
処女膜強靭症とは、処女膜が通常よりも厚く、硬く、伸びにくい状態を指します。
そのため、挿入時に強い痛みを感じることがあり、場合によっては外科的な処置が必要となることもあります。
処女膜が硬く厚いと、膣口がやや閉塞気味になり、以下のような症状が現れることがあります。
- タンポンが挿入できない
- 性行為時に強い痛みや出血を伴う
ただし、処女膜強靭症は膣口が完全に閉じているわけではないため、日常生活の中で自覚することはほとんどありません。
タンポンや男性器を挿入しようとした際に激しい痛みを感じ、その時点で初めて処女膜強靭症に気づくことが多くなっています。
処女膜強靭症を詳しく知る6.萎縮性腟炎
萎縮性腟炎は、更年期以降やホルモンバランスの変化によって、膣の粘膜が薄くなり、乾燥しやすくなることで炎症が起こる状態です。
この影響で、挿入時にヒリヒリとした痛みを感じることがあります。また、かゆみや違和感を伴うこともあり、症状が続くと日常生活にも影響を及ぼすことがあります。
7.ラテックスアレルギー
コンドームに使用される素材(ラテックス)にアレルギー反応を起こすと、外陰部に痛みやかゆみ、腫れなどの症状が現れることがあります。
症状が出た場合は、ラテックスフリー素材のコンドームを使用することで改善することがあります。
性交痛の原因はさまざまですが、どのケースでも適切な治療を受けることで症状の改善が期待できます。
痛みが長引く場合や強い不快感がある場合は、放置せずに婦人科を受診することが大切です。
性交痛はカンジダが原因?
カンジダ症の主な症状には、外陰部や膣のかゆみ、白いおりものが挙げられますが、性交痛も症状の一つとして現れることがあります。
ただし、カンジダ症で性交痛が起こる場合は、膣の粘膜や外陰部の炎症やヒリヒリ感が原因となっているケースが多く、カンジダの典型的な症状とは言えません。
性行為中にかゆみや痛みを感じる場合、症状が悪化する可能性があるため、カンジダの症状が完全に治るまでは性行為を控えることをおすすめします。
また、パートナーへの感染リスクを避けるためにも、早めに婦人科を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
性交痛は子宮腟部びらんが原因?
子宮腟部びらんは、子宮の腟部にただれや炎症が生じている状態です。そのため、性行為の際に痛みを感じる場合があります。
子宮腟部びらん自体は病気ではありません。しかし、びらん部分の粘膜は、細菌や外部からの刺激に対する抵抗力が低いため、炎症や不正出血を引き起こすことがあります。
また、子宮腟部びらんは、子宮頸がんの初期病変と見た目が似ているため、定期的な婦人科検診や精密検査でがんではないことを確認しておくことが大切です。
特に性交痛や不正出血が続く場合は、早めの診察をおすすめします。
婦人科で性交痛を治療する方法
性交痛の治療法は、痛みの原因によって異なります。
まずは婦人科で原因を特定し、適切な治療を行うことが大切です。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、患者さまの症状に合わせた治療法をご提案しております。
1.薬を服用する
性交痛の原因によっては、薬の服用によって痛みを軽減することが可能です。
鎮痛薬・鎮痙薬 | 一時的な痛みや筋肉の緊張を和らげるために使用します。 |
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低用量ピル | 子宮内膜症が原因の性交痛に対し、ホルモンバランスを整えて痛みを抑える効果が期待できます。 |
漢方薬 | 体質改善を目的とし、冷えや血流の改善によって症状が和らぐことがあります。 |
薬の種類や効果には個人差があるため、症状に応じた適切な治療法を医師と相談しながら選ぶことが大切です。
2.処女膜切開術を受ける
性交痛の原因が処女膜の厚さや硬さなどの構造的な問題である場合、手術による治療が必要になることがあります。
たとえば、処女膜強靭症と診断された場合、処女膜切開術を行うことで膣口を広げ、挿入時の痛みを軽減することが可能です。
この手術は局所麻酔下で短時間で行われるため、身体への負担が少ないことが特徴です。
3.膣ダイレーターを使用する
膣の筋肉が過剰に緊張している場合、膣ダイレーターの使用が有効です。
膣ダイレーターは、医療用シリコンやプラスチックで作られた専用の器具で、膣の柔軟性を高めるために使用されます。
サイズの異なるダイレーターを段階的に使用し、無理なく膣を拡張することで、挿入時の痛みを軽減します。
特に膣の緊張が原因の性交痛や膣痙攣症(膣の過剰な収縮)に効果的です。膣ダイレーターの使用方法や適切なサイズについては、医師の指導を受けながら進めることが大切です。
痛みが続く場合や原因が不明な場合は、早めに婦人科医へ相談することをおすすめします。
性交痛を予防するための対策4つ
性交痛を予防するためには、身体的・心理的な要因の両面に配慮することが大切です。以下で、性交痛の対策4つをご紹介します。
1.潤滑剤を使用する
潤滑が不十分な場合は、水溶性の潤滑剤を使用することが効果的です。潤滑剤を使用することで、乾燥による摩擦を防ぎ、挿入時の痛みを軽減できます。
なお、ワセリンや馬油など油性の潤滑剤は避けたほうが良い場合があります。油性の成分が炎症を引き起こしたり、コンドームの破損リスクを高める可能性があるためです。
2.リラックスできる環境を整える
不安や緊張は膣の筋肉を緊張させ、痛みを引き起こす大きな要因となります。心身ともにリラックスした雰囲気を作りましょう。
例えば、柔らかい照明を使用したり、アロマキャンドルや香りの良いディフューザーを取り入れると、リラックス効果が高まります。心地よい音楽を流すのも効果的です。
3.コミュニケーションを大切に
性行為に対する不安やストレスは、性交痛の心理的な要因となることがあります。
パートナーとお互いの気持ちを尊重し、率直に話し合いましょう。
たとえば、「痛みを感じていること」や「どのように触れられると安心するか」を具体的に伝えることで、相手も状況を理解しやすくなります。
さらに、性行為以外の時間でも、お互いの不安や気持ちを共有することで、信頼関係が深まり、リラックスした状態で性行為に臨めるようになるかもしれません。
4.婦人科の受診をためらわない
性交痛や違和感を感じたら、無理をせず、早めに婦人科を受診することが大切です。婦人科では、適切な診断を行い、原因に応じた治療や対策をご提案できます。
性交痛は珍しいことではなく、多くの女性が悩んでいる症状の一つです。一人で抱え込まず、気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
性交痛は病院へ行くべき?
性交痛が続く場合や強い痛みを感じる場合は、迷わず婦人科を受診しましょう。
性交痛の原因には、感染症や子宮内膜症、膣の乾燥、心理的な要因など、さまざまなものがあります。
多くは適切な治療で改善が期待できますが、放置すると症状が悪化したり、性行為へのトラウマや不妊リスクにつながることもあります。また、痛みの裏に重大な疾患が隠れている可能性もあるため、早期診断が大切です。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、痛みの原因を確認し、患者さま一人ひとりに合った治療や対策をご提案します。痛みを抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
性交痛のよくあるご質問
陰部がヒリヒリするのは性交痛なのでしょうか?
陰部のヒリヒリ感は、摩擦や乾燥、感染症などが原因で起こることが多いですが、性交痛の一種である可能性もあります。特に性行為後に症状が現れる場合は注意が必要です。痛みや不快感が続く場合は、早めに婦人科を受診し、原因を確認することをおすすめします。
性交痛は市販薬で治るものですか?
性交痛の原因によっては、市販薬で一時的に症状を和らげることができる場合もありますが、根本的な治療には繋がりません。たとえば、潤滑不足による痛みであれば、市販の潤滑剤が一時的に助けになることがあります。しかし、感染症や子宮内膜症、膣の炎症などが原因の場合、市販薬では改善しません。痛みが続く場合や強い違和感を感じる場合は、自己判断に頼らず、婦人科で適切な診断と治療を受けることをおすすめします。
性交痛改善のために低用量ピルを飲むべきですか?
低用量ピルは、性交痛の直接的な改善効果はありませんが、性交痛の原因となる子宮内膜症の進行を抑えるなど、特定の疾患に対して有効な場合があります。服用を検討する際は、ひよりレディースクリニック福岡博多までぜひお気軽にご相談ください。
20代の性交痛の原因は何ですか?
20代の性交痛の主な原因には、心理的な緊張、潤滑不足、性感染症、処女膜強靭症などが挙げられます。若い方でも原因は多岐にわたるため、痛みが続く場合は婦人科で相談することをおすすめします。
性交痛で病院に行くのは恥ずかしいです。
そのお気持ちはとてもよくわかります。しかし、性交痛の裏に婦人科系疾患が隠れている場合もあり、適切な治療を受けることで痛みが改善することもあります。ひよりレディースクリニック福岡博多では、診察時に女性スタッフが付き添い、リラックスしてお話いただける環境を整えています。ぜひお気軽にご相談ください。
生理前は性交痛になりやすいのですか?
生理前はホルモンバランスの変化により、膣の乾燥や外陰部の敏感さが増し、性交痛を感じやすい場合があります。潤滑剤の使用や無理をしないことが大切です。症状が続く場合は、婦人科での相談をおすすめします。
性交痛があります。どうすればいいですか?
性交痛がある場合は、まずは婦人科を受診し、原因を特定することが大切です。原因に応じた適切な治療や対策を受けることで、多くの場合改善が期待できます。性交痛にお悩みの方は我慢せず、ひよりレディースクリニック福岡博多までご相談ください。