アフターピルの副作用|症状6つと対処法
更新日:

監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
産婦人科専門医

本記事では、アフターピルの副作用について、特徴的な症状6つ、副作用が出やすい人・出にくい人の特徴、お酒とカフェインの関係、副作用を和らげるための対処法を詳しく解説します。
目次
アフターピルの副作用とは
アフターピルは、避妊の緊急手段として使用される薬です。
低用量ピルよりも高濃度のホルモンを含むため、一時的な副作用が現れることがあります。
副作用の程度には個人差があり、軽い違和感程度のものから、強く感じるものまでさまざまです。多くの場合は一時的なものであり、時間の経過とともに自然に軽減します。
しかし、症状が長引いたり、強い不調を感じる場合は、早めに医師に相談することが大切です。
アフターピルの副作用の症状6つ

アフターピルの主な副作用には以下のようなものがあります。
1. 吐き気(悪心)
アフターピルの副作用として、多く報告されているのが吐き気(悪心)です。
特に、レボノルゲストレルを含むアフターピルでは、3.6%の人に吐き気が現れると報告されています。
参考:緊急避妊法の適正使用に関する指針
服用後2時間以内に嘔吐した場合、薬の吸収が不十分な可能性があるため、医師に相談の上、追加の服用が必要となります。

吐いてしまわないか心配です......

吐き気も嘔吐も辛いですよね。ひよりレディースクリニック福岡博多では、アフターピルと一緒に吐き気止めを無料でお渡ししています。ご希望があれば、お気軽にお申し出ください。
2.不正出血
アフターピルの副作用で多く見られるのが、不正出血です。
(一部抜粋)WHOの試験において、16%の女性では予定された月経とは無関係に治療後7日以内に出血がみられている。
通常、不正出血は一週間以内に自然に治まることが多いですが、出血量が生理よりも多い場合や、一週間以上続く場合は、ホルモンバランスが大きく乱れている可能性があるため、婦人科を受診することをおすすめします。
また、激しい腹痛を伴う場合や、レバーのような大きな血の塊が出る場合も、早めに医師に相談すると安心です。
3.頭痛
アフターピルの服用により、ホルモンバランスが急激に変化することで頭痛が生じることがあります。
特に、もともと偏頭痛のある方や、ホルモンの変動に敏感な方は、症状が強く出やすい傾向があります。
ホルモンの急激な変化は脳内の血管に作用し、血管の拡張や収縮を引き起こすことで頭痛を誘発します。
また、自律神経のバランスが崩れることにより、倦怠感や吐き気とともに頭痛が現れることもあります。
4.生理の遅れ・周期の乱れ
アフターピルの副作用として、生理周期が乱れることはよくあります。
これは、アフターピルが排卵を抑制したり、子宮内膜の状態を変化させる影響によるものです。
(一部抜粋)およそ50%の女性では月経が予定よりも数日前後ずれることを認めている。
通常、一週間程度の遅れは問題ないことがほとんどですが、ひよりレディースクリニック福岡博多では、アフターピル服用から3週間後に妊娠検査薬の使用を推奨しています。
万が一、陽性反応が出た場合や、生理がこない状態が長く続く場合は、お早めにご相談ください。
5.乳房の張り
アフターピルの副作用として、一時的に乳房の張りや痛みを感じることがあります。
これは、体内のホルモンバランスが急激に変化することによる影響です。特に、エストロゲンやプロゲステロンの変動が乳腺に作用し、腫れや圧痛を引き起こすことがあります。
乳房の張りは通常、数日から一週間程度で自然に治まることが多く、生理前に感じる症状と似た感覚を伴います。
また、ホルモンの影響で体内に水分が溜まりやすくなり、むくみが生じることで乳房の張りをより強く感じることもあります。
6.倦怠感・めまい
アフターピルの服用により、ホルモンの急激な変化が自律神経に影響を与え、一時的に倦怠感やめまいを感じることがあります。
特に、血圧が変動しやすい貧血傾向のある方や、もともと低血圧の方は症状が強く出る可能性があります。
ホルモンバランスの乱れによって血管が拡張・収縮しやすくなり、脳への血流が一時的に低下することでめまいが生じることがあります。
また、アフターピルの副作用として吐き気や食欲不振が起こることがあり、十分な水分や栄養を摂取できないことで身体のエネルギー不足となり、倦怠感が強くなる場合もあります。
通常は一時的なもので、数時間から1日程度で自然に治まることが多いですが、強いめまいが続く場合や、立ちくらみが頻繁に起こる場合は、医療機関に相談することをおすすめします。
アフターピルの副作用はいつからいつまで?
副作用の出るタイミングや持続期間には個人差がありますが、一般的には以下のような経過をたどります。
服用後1~3時間以内 | 吐き気やめまいが現れることがある |
---|---|
服用後1~2日 | 頭痛や倦怠感が続くことがある |
服用後一週間以内 | 不正出血が見られることがある |
服用後2~3週間 | 生理が来るまで周期の乱れが起こる可能性がある |
副作用は一時的なもので、ほとんどの場合は時間の経過とともに治まります。
ただし、症状が強い場合や長く続く場合は、医師に相談することをおすすめします。
副作用が出やすい人・出にくい人
アフターピルの副作用の感じ方には個人差がありますが、体質やホルモンバランスの影響を受けやすい人ほど、副作用を感じやすい傾向があります。
あくまで目安ですが、副作用が出やすい人・出にくい人をタイプ別に分類すると、以下のようになります。
副作用が出やすい人
- 乗り物酔いしやすい(吐き気を感じやすい)
- 偏頭痛持ち(ホルモンの変動に敏感)
- 貧血、低血圧がある(めまいや倦怠感が強く出る可能性)
- 過去にホルモン治療で副作用が出たことがある
副作用が出にくい人
- 低用量ピルを日常的に服用している(ホルモン変動に慣れているため影響が少ない)
- 体質的にホルモン変動の影響を受けにくい(副作用を感じにくい傾向がある)
- 水分、食事をしっかりとる生活習慣がある(体調が安定しやすい)
アフターピルの副作用を軽減する方法
アフターピルの副作用は一時的なものがほとんどですが、服用の仕方や過ごし方を工夫することで、症状を軽減できる可能性があります。
副作用を少しでも抑えるために、以下のポイントを意識してみましょう。
- 食後に服用する:空腹時よりも胃への負担が少なく、吐き気を抑えやすい
- 十分な水分補給をする:脱水を防ぎ、頭痛や倦怠感を和らげる
- 服用前に酔い止めを飲む:乗り物酔いしやすい人は、事前に服用することで吐き気を軽減できる
- 服用後はリラックスして過ごす:ストレスや緊張を和らげ、体調の変化を最小限にする
アフターピルとお酒・カフェインの関係
アフターピルを服用後、絶対に避けなければならない食べ物や飲み物は特にありません。
しかし、副作用を強めたり、体調に影響を与える可能性があるものとして、「お酒」と「カフェイン」には注意が必要です。
アフターピルとお酒の関係
アルコールは体内の代謝を促進し、薬の成分が通常より早く分解される可能性があります。
そのため、アフターピルの効果が十分に発揮されないリスクがゼロとは言い切れません。
また、アフターピルの副作用として吐き気やめまいが生じることがあり、アルコールを摂取することでこれらの症状がさらに強くなる可能性があります。特に、もともと乗り物酔いや低血圧の傾向がある方は、めまいやふらつきを感じやすくなるため注意が必要です。
そのため、服用後24時間程度は飲酒を控えることが望ましいでしょう。どうしても飲酒する場合は、少量にとどめ、体調の変化に注意しながら摂取することをおすすめします。
アフターピルとカフェインの関係
コーヒーやエナジードリンク、緑茶などに含まれるカフェインには血管を収縮させる作用や神経を刺激する興奮作用があります。そのため、アフターピルの副作用として起こる頭痛やめまいを悪化させる可能性があります。
特に、普段あまりカフェインを摂取しない方は、少量でも影響を受けやすく、動悸や不眠が生じることがあります。
アフターピル服用後は体がホルモンバランスの変化に適応しようとするため、刺激の強い飲み物は控えめにしたほうが安心です。
どうしても摂取したい場合は、カフェインの含有量が少ない飲み物(デカフェコーヒー、麦茶、ハーブティーなど)を選ぶとよいでしょう。また、水分補給をしっかり行い、体調の変化を意識しながら過ごすことが大切です。
アフターピルの副作用がない人も
アフターピルを服用しても、全く副作用を感じない方もいます。
副作用の有無は個人差があり、体質やホルモンバランスによって異なります。副作用がないからといって、薬の効果が低下しているわけではありません。
アフターピルは正しく服用することで、高い確率で避妊効果を発揮します。
また、体調や生活習慣によっても副作用の出方は変わるため、普段から低用量ピルを服用している方や、ホルモン変動の影響を受けにくい方は、副作用を感じにくい傾向があります。
ひよりレディースクリニック福岡博多は、アフターピルの処方や服用に関するご相談ができる婦人科です。副作用が心配な方や、不安なことがある方は、お気軽にご相談ください。
アフターピル副作用のよくあるご質問
アフターピル服用後に嘔吐しました。飲み直す必要がありますか?
はい、服用後2時間以内に嘔吐した場合は、薬の吸収が不十分な可能性があります。再度服用が必要になることもあるため、早めに医師へ相談することをおすすめします。一方、服用後2時間以上経過している場合は、基本的に薬の吸収が完了していると判断し、再度服用の必要はありません。
アフターピルを飲んでから下痢になりました。効果に影響しますか?
軽度の下痢であれば問題ありませんが、重度の下痢(頻回の水様便)が服用後2時間以内に発生した場合、薬が十分に吸収されていない可能性があります。医師にご相談の上、必要であれば再度服用を検討してください。
副作用がないと、アフターピルの効果がないのですか?
いいえ、アフターピルの副作用の有無と効果は関係ありません。副作用は、個人の体質やホルモンの影響の受けやすさによるものであり、副作用がないからといって薬が効いていないわけではありません。万が一、生理が2週間以上遅れる場合や、不安がある場合はひよりレディースクリニック福岡博多までお気軽にご相談ください。
アフターピル服用後の生理が遅れても大丈夫ですか?
はい、通常一週間程度の遅れは問題ありません。アフターピルの服用後は、ホルモンの影響で生理が早まることもあれば、遅れることもあります。通常、一週間程度の遅れであれば心配ありません。ただし、アフターピル服用から3週間後には、念のため妊娠検査薬で確認することをおすすめします。
副作用が強く出た場合はどうすればいいですか?
アフターピルの副作用で、吐き気・頭痛・めまい・倦怠感など症状が強く出た場合は、まずはこまめに水分を摂り、静かな環境で休んでください。特に脱水状態になると症状が悪化する可能性があるため、スポーツドリンクや白湯などで水分補給を意識しましょう。症状が長引く場合や、耐えがたい痛み・激しい嘔吐が続く場合は、お早めにご相談ください。