子宮頸がん検診は毎年必要?必要ない人もいる?
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監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
産婦人科専門医

本記事では、子宮頸がん検診は毎年必要なのか、必要ない人はいるのか?について、産婦人科専門医がわかりやすく解説します。
目次
子宮頸がん検診は毎年必要?
結論から言うと、ひよりレディースクリニック福岡博多では、20歳以上の方には2年に1回の子宮頸がん検診を推奨しています。
厚生労働省も「20歳以上の女性は2年に1回」の受診を推奨しており、この間隔であれば子宮頸がんが進行する前に発見できる可能性が高いとされています。
そのため、自治体が実施する子宮頸がん検診も、原則2年に1回で案内されています。
ただし、過去の子宮頸がん検診で異常を指摘された方や、医師から短い間隔での検査を勧められた方は、毎年あるいは半年ごとの受診が必要になる場合もあります。
「症状がないから大丈夫」と思わず、定期的に検診を受けることが安心につながります。
早期発見・早期治療のためにも、ぜひ検診を生活習慣に取り入れましょう。
HPVワクチンを接種していても検診は必要

「HPVワクチンを接種したから検診は不要」というのは誤解です。
HPVワクチンは、子宮頸がんの原因の大部分を占めるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防しますが、すべての型を防ぐわけではありません。
また、HPV以外の要因で子宮頸がんが発生することもあります。
そのため、ワクチンを接種している方も、定期的な子宮頸がん検診を受けることが大切です。
子宮頸がん検診はなぜ必要なのか
子宮頸がんは進行がゆっくりで、初期にはほとんど自覚症状がありません。
そのため、症状が出てから気づいた時には進行していることも少なくありません。
定期的な検診を受けることで、がんになる前の「前がん病変」や、早期の段階で異常を見つけることができます。
早期に発見できれば治療の選択肢も広がり、子宮を温存した治療が可能になる場合もあります。
HPV感染からがん化までは時間がかかる
HPV感染が原因となる子宮頸がんは、感染してから実際にがんへ進行するまでに5年から10年以上かかるといわれています。
この間に細胞が少しずつ変化していくため、定期的な検診で前がん病変の段階で見つけて治療につなげることが大切です。
子宮頸がんは、初期であればほとんどが治癒可能ながんです。だからこそ「2年に一度の検診」が推奨されており、がんを防ぐための大切な2次予防となります。
子宮頸がん検診が特に重要な方

子宮頸がん検診はすべての女性にとって重要ですが、特に以下に当てはまる方は、定期的な受診を強くおすすめします。
1.妊娠を考えている方
妊娠を希望する方は、妊娠前に子宮頸がん検診を受けておくことが非常に大切です。
妊娠中に子宮頸がんやその前段階である「異形成」が見つかると、赤ちゃんへの影響を考慮しなければならず、治療方法が制限されることがあります。
場合によっては、妊娠の継続が難しくなる可能性もゼロではありません。
そのため、妊娠前に子宮頸がん検診を受けて病変の有無を確認しておくことが、安心して妊娠・出産を迎えるための大切な準備となります。
2.喫煙している方
喫煙はがんのリスクを高める大きな要因であり、喫煙歴のある方は特に注意が必要です。
たばこに含まれる有害物質は、子宮頸がんの主な原因であるHPVの感染で起こった細胞の異常を悪化させ、がん細胞へ進行するリスクを高めることがわかっています。
そのため、喫煙習慣のある方は、一般的な「2年に1回」の推奨頻度にとらわれず、毎年検診を受けるなど、より慎重な経過観察を心がけることが大切です。
3.複数のパートナーと性交渉の機会がある方
複数のパートナーとの性交渉の機会がある方は、HPV感染のリスクが高まり、子宮頸がんのリスクも上昇します。
子宮頸がんの主な原因は、性交渉を介して感染するHPVによるものです。
HPVは非常に一般的なウイルスで、性交渉の経験がある人の多くが一生に一度は感染すると言われています。
複数のパートナーとの性交渉歴がある場合、HPVに感染する機会が増えるため、病変が生じるリスクも高まります。
そのため、このような背景を持つ方は、2年に1回ではなく毎年の子宮頸がん検診を受けることが推奨される場合もあります。
4.過去に「異形成」を指摘されたことがある方
過去の子宮頸がん検診で「異形成」を指摘された方は、子宮頸がんへ進行する可能性を考慮し、定期的な検診と経過観察が不可欠です。
異形成とは、子宮頸がんの前段階にあたる病変のことを指します。
異形成と聞くと不安に感じるかもしれませんが、必ずしもがんになるわけではありません。
自然に改善したり、進行せずに安定したまま経過するケースもあります。
しかし、一部は進行して子宮頸がんへと移行することがあるため、医師の指示に従って定期的に検診を受け、状態の変化を継続的に確認することが大切です。
自己判断で検診をやめるのではなく、安心のためにも必ず定期的な経過観察を続けましょう。
異形成を詳しく知る子宮頸がん検診が必要ない人とは
子宮頸がん検診は、子宮の入り口である「子宮頸部」の細胞を調べる検査です。
そのため、子宮を全摘出しており、子宮頸部が残っていない方に限っては、この検診を受ける必要はありません。
その他の方は、定期的な子宮頸がん検診を受ける必要があります。
「閉経すれば必要ない」は誤解
もう閉経したから大丈夫、と考える方もいらっしゃいますが、それは大きな誤解です。
子宮頸がんは20〜30代の発症が多い一方で、40代以降や閉経後に発見されるケースも少なくありません。
実際に、子宮頸がんで治療を受ける方の中には50代・60代の方もいらっしゃいます。
年齢にかかわらず定期的な検診を受けて、がんになる前の段階で発見することが、ご自身の健康を守るために非常に大切です。
症状がない場合は?
子宮頸がんやその前段階の病変(異形成)は、ほとんどの場合で自覚症状がありません。
進行して初めて、不正出血や性交時の出血、おりものの異常といった症状が出ることがありますが、その時点では病気が進んでしまっているケースも少なくありません。
「症状がないから大丈夫」と思って検診を受けないままでいると、病気が進行した状態で見つかり、治療の選択肢が限られてしまうリスクが高まります。
子宮頸がんは、前がん病変の段階であれば簡単な処置で治癒することができます。
ご自身の健康を守るためにも、年齢や症状の有無にかかわらず、定期的な検診を続けていただくことがとても大切です。
当院の子宮頸がん検診について
ひよりレディースクリニック福岡博多では、子宮頸がんを早期に発見するために「細胞診」と「HPV検査」を組み合わせた精度の高い検診を行っています。
子宮頸部細胞診
子宮頸部から綿棒やブラシのような器具を使って細胞を採取し、がん細胞や前がん病変がないかを顕微鏡で詳しく調べる方法です。
もっとも基本的で全国的に広く行われている検査で、子宮頸がんの早期発見に大きく役立ちます。
採取にかかる時間は数秒程度で、痛みはほとんどなく、外来で簡単に受けることができます。
HPV検査(必要に応じて実施)
子宮頸がんの主な原因であるHPVに感染しているかどうかを調べる検査です。
細胞診が「すでに細胞の異常があるか」を見るのに対し、HPV検査は「将来的ながんのリスクを評価する」ことに役立ちます。
特に30歳以上の方や、細胞診で異常が見つかった方に推奨されます。
HPV検査を組み合わせることで、子宮頸がんのリスクをより正確に把握でき、必要に応じて精密検査や治療につなげることができます。
福岡で子宮頸がん検診を受けるなら
子宮頸がん検診は、原則2年に1回が推奨されています。
検診が不要といえるのは、子宮を全摘出して子宮頸部が残っていない一部のケースに限られます。
年齢や症状の有無にかかわらず、基本的にはすべての女性で検診が必要です。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、細胞診やHPV検査を組み合わせた精度の高い子宮頸がん検診を行っています。
検査に対して不安をお持ちの方も、安心して受けていただけるよう丁寧にご説明いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。










