ピルで肌荒れは治るのか|ニキビへの効果
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監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
産婦人科専門医

本記事では、ピルが肌荒れやニキビにどのように作用するのか、効果が出るまでの期間や適したピルの種類について、詳しく解説します。
目次
ピルが肌荒れやニキビに効く理由
低用量ピルは「避妊のための薬」というイメージがあるかもしれませんが、実はホルモンバランスを整えることで、肌荒れやニキビの改善にも効果が期待できます。
女性の身体は、生理周期に伴いホルモンのバランスが変化します。
特に、生理前になると「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が増え、皮脂の分泌が活発になり、ニキビができやすい状態になります。
低用量ピルやミニピルには、このホルモンの変動を抑え、皮脂分泌をコントロールする働きがあるため、生理前に悪化する肌荒れやニキビを予防することができます。
このようなお悩みにおすすめです
- 生理前にニキビが悪化する
- 繰り返し同じ場所に炎症を伴うニキビができる
- 外用薬を使ってもなかなか治らない
- ホルモンバランスの乱れが気になる
- スキンケアを気をつけても改善しない
上記のようなお悩みがある方は、ピルを服用することで肌荒れを改善できる可能性があります。
低用量ピルが肌荒れに効く仕組み
1.男性ホルモンの抑制で皮脂分泌をコントロール
生理前に増える「黄体ホルモン(プロゲステロン)」には、皮脂の分泌を促す作用があります。
また、女性の体内にも存在する男性ホルモン(アンドロゲン)が活性化することで皮脂腺が刺激され、ニキビの原因になることがあります。
低用量ピルに含まれる「エストロゲン(卵胞ホルモン)」は、アンドロゲンの働きを抑えることで皮脂の分泌をコントロールし、ニキビの予防に効果が期待できます。
また、ミニピル「スリンダ」に含まれる「ドロスピレノン」には抗アンドロゲン作用があり、ニキビの改善効果が期待されます。
2.ホルモンバランスの安定で生理前の肌荒れを防ぐ
生理前になると、ホルモンバランスが急激に変化し、皮脂の増加・肌の乾燥・炎症が起こりやすくなります。そのため、生理前にニキビが悪化しやすいのです。
ピルを服用すると、ホルモンの変動が緩やかになるため、生理前の肌トラブルを軽減し、ニキビの悪化を防ぐことができます。
3.ターンオーバーを正常化し、ニキビ跡を残りにくくする
ホルモンバランスが整うと、肌のターンオーバー(新陳代謝)が正常化し、肌の生まれ変わりがスムーズになります。
その結果、古い角質や色素沈着が排出されやすくなり、ニキビ跡が残りにくくなるというメリットもあります。
「赤みや色素沈着がなかなか消えない…」と悩んでいる方にも、ピルは選択肢のひとつになるでしょう。
【ニキビに効くピル】種類と選び方
ピルにはさまざまな種類がありますが、すべてのピルがニキビ改善に適しているわけではありません。
ニキビ改善に向いているピルは、エストロゲンとプロゲステロンの配合バランスが適切なものです。
ピルの種類 | ニキビへの効果 |
---|---|
マーベロン | ◎ |
ファボワール | ◎ |
トリキュラー | ◯ |
ラベルフィーユ | ◯ |
ミニピル (スリンダ) | ◎ |
特に、低用量ピルのマーベロン・ファボワールと、ミニピルのスリンダは、皮脂抑制効果が高いため、ニキビの治療にも使われることが多いです。
低用量ピルを詳しく知るミニピルを詳しく知る低用量ピルの種類一覧を見るピルのニキビ改善効果はいつから?

ピルの服用によるニキビ改善効果は、早い方で1か月ほど、平均的には3か月ほどで実感されることが多いです。
ピルを飲み始めるとすぐに効果が出るわけではなく、ホルモンバランスが安定するまでに少なくとも1〜3か月かかります。
そのため、すぐに変化を感じなくても焦らず継続することが大切です。
ピルの効果が現れるまでに時間がかかる理由
ピルがホルモンバランスを整え、肌に良い影響を与えるまでには、身体が新しいホルモン環境に適応する期間が必要です。
皮脂の分泌がコントロールされ、新しいニキビができにくくなるまでには約3か月かかるのが一般的です。
これは、ホルモンが安定し、肌のターンオーバーが正常化するために必要な期間と考えられます。
特に、ホルモンの影響を受けやすい生理前のニキビやフェイスラインのニキビは、ピルの作用によって徐々に改善していきます。
ピルの服用でニキビが悪化することはある?
ピルを飲み始めると、最初の1〜2か月の間に一時的にニキビが増えることがあります。
これは「好転反応」と呼ばれ、身体がホルモンバランスの変化に適応する過程で、一時的に皮脂分泌が増えることが原因です。
しかし、多くの方が2〜3か月目にはニキビの改善を実感するため、すぐにやめずに継続することが大切です。
もし3か月以上経っても改善が見られない場合は、ピルの種類が合っていない可能性があります。
その場合は、婦人科で相談し、別のピルに変更することも検討しましょう。
肌荒れ改善のためのピル処方は婦人科へ
生理前になると必ず肌荒れする、ニキビが悪化するなどのお悩みがある方は、ホルモンバランスの乱れが関係している可能性があります。
ピルは、ホルモンバランスを整えることで、肌荒れやニキビの改善が期待できる治療法のひとつです。
特に、生理前やホルモンの影響を受けやすいニキビに悩む方には、有効な選択肢となる可能性があります。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、患者さま一人ひとりの体質やお悩みに合わせた最適なピルを処方しています。
避妊目的だけでなく、生理前の肌荒れやホルモンバランスの乱れによるニキビにお悩みの方も、ぜひお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
ピルを飲み始めてすぐにニキビは治りますか?
すぐに治るわけではありませんが、早い方で1か月ほど、平均的には3か月ほどで改善を実感することが多いです。ピルはホルモンバランスを整えることでニキビを改善しますが、身体が新しいホルモン環境に適応するまで時間がかかるため、即効性はありません。そのため、すぐに効果を感じなくても焦らずに継続することが大切です。もし3か月以上経っても改善が見られない場合は、ピルの種類が合っていない可能性もあるため、一度婦人科へご相談ください。
ピルの服用でニキビが一時的に悪化することはありますか?
はい、服用開始後1〜2か月の間に一時的にニキビが増えることがあります。これは「好転反応」と呼ばれ、ホルモンバランスが変化する過程で一時的に皮脂の分泌が増えることが原因です。しかし、多くの方は2〜3か月ほどで落ち着いてくるため、焦らず様子を見ながら継続することが大切です。
ピル処方時の婦人科の診察ではどのようなことを聞かれますか?
ピルを希望される場合は、基本的に問診のみで内診は不要です。診察では、以下のような項目を確認することが多いです。(生理周期やPMSの有無・現在の肌の状態やニキビのお悩み・過去のピルの服用歴・喫煙の有無や既往歴)ピルの種類によって、ニキビや肌荒れの改善に適したものがありますので、診察時に「肌荒れを改善したい」と医師に伝えるとスムーズです。
背中ニキビにもピルは効きますか?
はい、効果が期待できます。背中ニキビも顔のニキビと同様に、皮脂の過剰分泌やホルモンバランスの乱れが原因となっていることが多いため、ピルの服用によって改善が期待できます。特に、「生理前に背中ニキビが悪化する方」や「繰り返す炎症性ニキビ」には、ホルモンを整えることで症状が落ち着くケースが多く見られます。ただし、背中ニキビには摩擦・汗・シャンプーの洗い残しなど、ホルモン以外の要因も関係しているため、スキンケアや生活習慣の見直しも併せて行うことが大切です。また、当院では背中ニキビ治療の一環として、「マヌカピール」というピーリング施術もご提供しております。お悩みに合わせた治療をご提案いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。