尿意がないのに尿漏れするのは女性特有の病気?
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監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
産婦人科専門医

本記事では、「尿意がないのに尿漏れする」という症状について、考えられる原因や女性に多い病気、治療法、薬で改善が期待できるケースについて、分かりやすく解説します。
目次
尿意がないのに尿漏れするのは女性特有の病気?
「尿意がないのに尿漏れする」という症状は、女性に多く見られます。
最も一般的な原因としては腹圧性尿失禁が挙げられ、日本人女性の尿失禁の実態に関する研究でもその傾向が報告されています。
参考:日本人女性の尿失禁の実態とその取り組みに関する文献レビュー
腹圧性尿失禁は、骨盤底筋や靭帯・結合組織の弛緩、筋肉のダメージによって起こります。
例えば、妊娠中は大きくなった子宮が膀胱を圧迫し、出産時には赤ちゃんが産道を通ることで膀胱や尿道を支える骨盤底筋にダメージが加わります。
また、加齢とともに骨盤底筋の筋力は自然に低下するため、尿漏れが起こりやすくなります。
そもそも、尿漏れとは?

尿漏れとは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態を指します。
女性に多く見られますが、男性でも起こることがあります。症状には一時的に出るものから、長期間続くものまでさまざまです。
尿漏れの原因は複数あり、タイプによって適切な治療法も異なります。まずは「どのような尿漏れなのか」を見極めることが改善への第一歩です。
尿漏れではない可能性も
「下着が湿っている=尿漏れ」と思われがちですが、実際には粘度の低いおりものであるケースも少なくありません。
特に若い女性に多く見られる現象で、必ずしも病気とは限らないため、過度に心配しなくても大丈夫です。
おりものの増加や性状の変化は、一時的なホルモンバランスの乱れで起こることがあります。
例えば排卵期や生理前後には、サラサラとした水っぽいおりものが増えることがあり、「尿漏れしたかも?」と感じる方もいらっしゃいます。
一方で、膣や子宮の炎症・感染症(細菌性腟症やクラミジア感染症など)が原因で水っぽいおりものが増えることもあります。
その場合には、量の増加に加えて、におい・かゆみ・下腹部痛などの症状を伴うのが特徴です。
いずれにしても、不快な症状が続く場合や気になる変化がある場合は、早めに婦人科での検査をおすすめします。
尿が少しずつ漏れる…女性特有の病気5例
尿意がないのに尿が漏れる場合は、いくつかの病気が関与している可能性もあります。
こちらでは、女性に多く見られる5つの病気について解説します。
1.過活動膀胱(かかつどうぼうこう)
過活動膀胱は、急に強い尿意を我慢できなくなる「尿意切迫感」を主症状とする病気です。
特徴的なのは、尿意を感じていないのに膀胱が勝手に収縮し、少量の尿漏れが起きることがある点です。
膀胱の筋肉が過敏になっていることが原因の一つとされ、加齢やストレス、神経系の異常などが関係していると考えられています。
2.腹圧性尿失禁(ふくあつせいにょうしっきん)
多くの女性に見られる「腹圧性尿失禁」とは、お腹に力が入った時に尿が意図せず漏れてしまう状態を指します。
例えば、次のような場面で起こります。
- 咳やくしゃみをした時
- 笑った時
- 重い物を持ち上げた時
- 走ったり、ジャンプした時
このようなときに、尿意がないのに尿が漏れてしまうことがあります。
妊娠中や出産直後、経膣分娩を複数回経験している方、閉経後の方、また体重増加がある方に多く見られます。
原因は、尿道を支える骨盤底筋が弱まることで、尿道をしっかり締められなくなるためです。
3.切迫性尿失禁(せっぱくせいにょうしっきん)
突然「我慢できない」と感じるほどの強い尿意に襲われ、トイレに間に合わずに尿が漏れてしまう状態です。多くの場合は過活動膀胱の症状の一部として現れます。
「急にトイレに行きたくなって間に合わない」と感じる方は、切迫性尿失禁の可能性があるため注意が必要です。
4.混合性尿失禁(こんごうせいにょうしっきん)
混合性尿失禁は、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方を併せ持つ状態です。
くしゃみをしてもれる、急な尿意でもれるといった異なるタイプの症状が同時に出ることが特徴です。
症状が重なることで、日常生活の支障が大きく、生活の質に強い影響を及ぼすことがあります。
5.神経因性膀胱やその他の疾患
糖尿病・脳卒中・パーキンソン病・多発性硬化症など、神経の障害によって膀胱や尿道の働きをコントロールできなくなる病気でも尿漏れは起こります。
特に基礎疾患をお持ちの方は、泌尿器科や神経内科と連携した治療が必要になる場合もあります。
尿漏れは薬で治る?

尿漏れは原因によって、薬で改善が期待できるタイプと、薬だけでは難しいタイプがあります。ご自身の症状に合った治療を選ぶことが大切です。
薬で改善が期待できるタイプ
特に過活動膀胱による尿漏れでは、薬での改善が期待できます。
抗コリン薬
膀胱の筋肉の過剰な収縮を抑え、尿をためられる量を増やします。
β3作動薬
膀胱の筋肉を緩め、尿をためやすくすることで、頻尿や尿漏れを改善します。
これらの薬は、膀胱の「過敏な働き」を落ち着かせることで、尿漏れの回数や頻度を減らす効果が期待できます。
薬では改善が難しいタイプ
一方で、腹圧性尿失禁(せき・くしゃみ・運動で漏れるタイプ)は、薬だけで根本的に治すことは難しいとされています。この場合は次のような治療や工夫が主体となります。
骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)
骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)は、尿道や膀胱、子宮などを下から支える骨盤底筋を鍛える方法です。
この筋肉を強化することで、尿道をしっかり締められるようになり、腹圧性尿失禁の改善に効果が期待できます。
咳・便秘・肥満の改善
腹圧がかかりやすい生活習慣を整えることが重要です。体重管理も骨盤底への負担を減らす効果があります。
水分摂取や飲み物の工夫
水分を極端に控えることで、尿が濃縮されて膀胱を刺激し、尿意が強まることがあります。
適度な水分補給を行いつつ、カフェインやアルコールなど、利尿作用の強い飲み物は控えるようにしましょう。
婦人科でできる尿漏れの治療

ひよりレディースクリニック福岡博多では、尿漏れにお悩みの方へ「膣のヒアルロン酸注射」をご提案しています。
膣のヒアルロン酸注射は、膣壁にヒアルロン酸を注入することで尿道や膀胱を支える組織を強化し、尿漏れを改善する方法です。
特に腹圧性尿失禁に効果が期待でき、くしゃみや笑ったとき、運動時の尿漏れを軽減するのに役立ちます。
妊娠・出産による骨盤底筋のゆるみや、加齢に伴う組織の変化が原因となる尿漏れに対して、メスを使わず短時間で施術が完了するのも大きな利点です。
| カウンセリング料 | 2,200円 |
|---|---|
| 膣圧測定 | 4,400円 |
| 1cc | 45,000円 |
| 5cc | 199,000円 |
| 10cc | 380,000円 |
| Gスポット (2cc) | 89,000円 |
| 笑気麻酔 | 16,500円 |
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当院は福岡で尿漏れの相談ができる婦人科です
ひよりレディースクリニック福岡博多では、尿漏れに関するご相談を多くいただいています。
尿漏れの原因によって治療法はさまざまですが、疾患によるものではない場合、膣のヒアルロン酸注射を行うことで、日常生活をより快適に過ごせるようになるケースもあります。
「尿意がないのに尿漏れしてしまう…」とお悩みの方は、LINE・WEBによる即時予約、またはお電話にてご予約が可能です。(当院は完全予約制です)
まず疾患の検査をご希望の方は「症状のご相談」を、ヒアルロン酸注射をご検討の方は「膣圧測定・膣のヒアルロン酸注射」をご選択ください。
患者さま一人ひとりに合わせた丁寧な診療を心がけております。どうぞお気軽にご相談ください。
尿漏れに関するよくあるご質問
女性の尿漏れはよくあることなのでしょうか?
はい。 女性の尿漏れは決して珍しいものではありません。特に妊娠・出産後や加齢に伴って起こりやすくなります。症状の程度には個人差がありますが、「よくあること」だからといって我慢せず、生活に支障がある場合は受診をおすすめします。
水分を取ってないのにトイレが近い気がします。
水分摂取が少なくても頻尿になることはあります。膀胱が過敏に反応してしまう過活動膀胱などの病気が原因となることがありますし、冷えやストレス、カフェイン・アルコールの摂取も頻尿を悪化させる要因になります。「日中に8回以上」「夜中に何度も起きる」といった場合は、単なる体質ではなく病気が隠れていることもあります。生活に支障を感じるときは、早めに婦人科や泌尿器科でのご相談をおすすめします。
膣のヒアルロン酸注射が気になりますが、痛みが怖いです。
当院では、局所麻酔や笑気麻酔をご用意しておりますので、痛みに配慮した施術が可能です。実際に受けられた患者さまからは、「思ったより痛くなかった」といった声を多くいただいています。お気軽にご相談ください。








