中絶は何週から何週まで出来るのか
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監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
産婦人科専門医

人工妊娠中絶は、法律で認められた期間内に行う必要がありますが、週数によって方法や身体への負担が大きく異なります。
本記事では、中絶ができる時期(何週から何週まで)と、初期・中期における手術の違いや日帰り手術ができる時期について、詳しく解説します。
目次
中絶は何週目からできる?

中絶手術は、超音波検査で妊娠の成立が確認できる「妊娠5週目以降」から実施することが一般的です。
妊娠5週頃になると、子宮の中に胎嚢(たいのう)と呼ばれる小さな袋が確認でき、6週を過ぎると胎芽や心拍が見えるようになってきます。
早すぎる時期は実施できない理由
妊娠検査薬が陽性となり、予期せぬ妊娠に戸惑いや不安を抱えている場合、「早く手術を受けたい」というご相談をいただくことがあります。
しかし、妊娠4週などの非常に早い時期では、超音波検査を行っても子宮内に胎嚢が確認できないことがあります。
胎嚢が見えない段階では子宮外妊娠(異所性妊娠)の可能性を否定できないほか、子宮損傷の危険性や組織の取り残しといったリスクが高まります。
そのため、ひよりレディースクリニック福岡博多では、患者さまの安全を最優先に、超音波検査で胎嚢が確認できた段階で手術日を決定しております。
妊娠の確定診断の重要性
中絶手術を行う前には、週数や子宮・卵巣の状態を正確に把握する「妊娠の確定診断」が非常に重要です。
この確定診断を行うことで、患者さまの身体への負担を最小限に抑え、安全に手術を実施するための準備が整います。
中絶は何週までできる?

中絶手術には、法律で明確に定められた期限があります。日本では、「母体保護法」に基づき、人工妊娠中絶が認められるのは「妊娠22週未満」までです。
母体保護法における「妊娠22週未満まで」の定義
母体保護法第14条では、
- 妊娠の継続が母体の健康を著しく害するおそれがある場合
- 経済的な理由などで妊娠の継続が困難な場合
に限り、一定の条件のもとで中絶手術を認めています。
また、法律上の「人工妊娠中絶」とは、胎児がまだ子宮の外で生きていけない時期にのみ実施できる医療行為と定義されています。
そのため、中絶手術が行えるのは妊娠22週未満(21週6日まで) に限られており、22週以降は法律上、中絶として扱われません。
なぜ「22週以降は法律上の中絶にあたらない」のか
妊娠22週以降になると、赤ちゃんが早く生まれた場合でも新生児医療によって子宮外で生きられる可能性が高まると医学的に考えられています。
そのため母体保護法では、22週以降に妊娠を終了させる行為は「人工妊娠中絶」ではなく「人工的な出産」 として扱われます。
このような理由から、中絶を希望される場合は妊娠21週6日までに手術を終える必要があります。
初期中絶は妊娠11週6日まで
中絶手術は、行う時期によって「初期中絶」と「中期中絶」に分けられます。
初期中絶とは、一般的に妊娠11週6日までに行う中絶手術を指します。
初期手術では、子宮の中の内容物を取り除くために、吸引法や掻爬(そうは)法といった方法を用います。
処置の時間は比較的短く、麻酔のもとで日帰りで行うことができる場合が多いのが特徴です。中期中絶と比べて身体への負担が少なく、回復も早い傾向があります。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、吸引法(EVA・MVA)による初期中絶を行っております。
中期中絶は妊娠21週6日まで
中期中絶とは、妊娠12週0日から、法律で定められた最終期限である妊娠21週6日までに行う処置を指します。
この時期になると、初期中絶のように短時間で行う手術ではなく、陣痛を誘発して人工的に「出産」という形で胎児を体外へ娩出する方法をとります。
そのため、身体への負担が大きく、必ず入院での管理が必要となります。
また、中期中絶は妊娠12週以降の処置となるため、法律に基づき役所への「死産届」の提出が必要です。
この手続きに伴い、火葬や埋葬などの費用・対応も発生するため、初期中絶とは医療面だけでなく事務的な手続きにも大きな違いがあります。
なお、ひよりレディースクリニック福岡博多では、中期中絶には対応しておりません。
日帰りでできる中絶は何週まで?
一般的に、日帰りで中絶手術を受けられるのは妊娠初期(妊娠11週6日まで)の方です。
この時期の中絶手術は、子宮の内容物を吸引・除去する「吸引法」などで行われ、比較的短時間で安全に処置を終えることができます。
安全性・出血量・麻酔の観点から
初期中絶は、中期中絶に比べて出血量が少なく、手術時間も短いことが特徴です。
手術は静脈麻酔のもとで行うことが多く、眠っている間に処置が完了するため、痛みを感じることはほとんどありません。
手術後は回復室で数時間お休みいただき、体調に問題がなければその日のうちにご帰宅いただけます。
こうした点から、初期中絶は身体への負担が少なく、日帰りでの手術が可能なケースが多いといえます。

妊娠10週2日です。日帰り中絶手術は可能ですか?

はい、妊娠10週2日であれば、当院では日帰りで中絶手術をお受けいただけますのでご安心ください。日帰り手術に対応できるのは妊娠11週6日までとなっておりますので、心配なことがございましたらお早めにご相談いただければと思います。また、診察・検査・手術を1日で完了する「即日中絶手術」にも対応しております。ご不安な点や気になることがありましたら、お電話やLINEでお気軽にお問い合わせください。
妊娠週数を確認するには?
ご自身の妊娠週数を正しく知ることは、中絶手術を受けられる時期や方法を判断するうえで非常に大切です。
妊娠週数の確認には、「最終月経日からの計算」と「超音波検査による診断」の2つの方法があります。
最終月経日からの計算方法
「最後に生理が来た日」を基準にして、その日から数えて現在が何週何日目にあたるかを計算することで、ご自身でも簡単に妊娠週数を確認することができます。
ただし、この方法はあくまで目安であり、排卵のタイミングや月経周期の個人差によって実際の週数とずれることがあります。おおよその週数を知る参考としてご活用ください。
最終月経開始日: | 妊娠週数を調べたい日付:
妊娠週数は推定
です
超音波で確認する妊娠週数の正確性
より正確な妊娠週数を知るためには、産婦人科での超音波検査が欠かせません。
医師が赤ちゃん(胎芽)の大きさを測定し、その発育の状態から妊娠週数を算出します。
この医師による確定診断で得られた妊娠週数が、中絶手術を受けられる時期や期限を判断する正式な基準となります。
週数に応じた正しい選択を
人工妊娠中絶は、妊娠週数によって手術の方法や身体への負担、費用が大きく異なります。
| 初期中絶 (妊娠11週6日まで) | 比較的身体への負担が少なく、日帰りでの手術が可能な場合が多いです。 |
|---|---|
| 中期中絶 (妊娠12週0日〜21週6日) | 身体への負担が大きく、入院での管理が必要となり、費用も高くなります。 |
早めの受診・相談が大切です
妊娠に関して不安を感じたり、中絶を検討している場合はもちろん、出産を迷っている場合も、できるだけ早めに産婦人科を受診し、医師にご相談ください。
中絶手術には法律で定められた期限があるため、迷っている間に週数が進むことがあります。
医師の診察を受けることで、妊娠週数や身体の状態を正確に把握し、今後の選択肢について冷静に考えるための情報を得ることができます。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、患者さまお一人おひとりの状況を丁寧にお伺いして、最善の選択をサポートいたします。
よくあるご質問
妊娠週数がわからない場合はどうすればいいですか?
妊娠週数がわからないときは、できるだけ早めに婦人科を受診し、超音波検査を受けましょう。検査では、子宮の中に胎嚢や胎芽が確認できるかを調べ、赤ちゃんの大きさや発育の状態から正確な妊娠週数を判断します。妊娠週数がわかることで、中絶手術が可能な時期や方法、出産を希望される場合は今後の流れが明確になります。また、まれに子宮外妊娠など、早期に対応が必要なケースが見つかることもあるため、不安なまま放置せず、まずは医師の診察を受けることが大切です。
中絶を受けるための条件はありますか?
日本では、人工妊娠中絶は「母体保護法」という法律に基づいて行われます。母体保護法では「母体の健康を著しく害するおそれがある場合」や「経済的・社会的な理由で妊娠の継続が困難な場合」など、一定の条件のもとで中絶手術を認めています。また、手術を行うことができるのは、都道府県から認可を受けた「母体保護法指定医」に限られます。ひよりレディースクリニック福岡博多では、すべての中絶手術を母体保護法指定医である院長が担当いたします。どうぞ安心してご相談ください。
妊娠8週3日です。出産か中絶、いつまで迷っても良いですか?
大切なご相談をありがとうございます。出産するか中絶するかについて迷われるのは、とても自然なことですし、多くの方が同じように悩まれます。ただし、中絶には法律で定められた期限(妊娠21週6日まで)があり、さらに身体への負担が比較的少ない「初期中絶」が行えるのは妊娠11週6日までとなっています。迷われている段階でも構いませんので、できるだけ早めに産婦人科を受診し、妊娠週数やお身体の状態を確認することをおすすめいたします。







