アフターピルを飲んだのに陽性になる確率とは
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監修者｜橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
産婦人科専門医
目次
アフターピルを飲んだのに陽性になることはあります
アフターピルは避妊効果の高いお薬ですが、100％の避妊を保証するものではありません。
そのため、アフターピルを服用後に妊娠検査薬で「陽性」が出るケースは起こり得ます。
突然の陽性反応に驚かれたり、大きな不安を感じるのは当然のことです。
まずは、アフターピルの作用と妊娠検査薬の仕組みを整理しながら、状況を正しく理解していきましょう。
時間経過によって避妊効果は変化します
アフターピルの効果は「避妊失敗後にどれだけ早く服用できたか」に大きく左右されます。緊急避妊では、服用の早さが成功率を高める最も重要なポイントです。
「服用までの時間が長くなると避妊効果が減弱する」
たとえば、レボノルゲストレル（LNG）の場合、
- 24時間以内の服用で最も高い効果が期待できる（95％以上という報告もあり）
- 時間の経過とともに効果はゆるやかに低下する
といった特徴があります。
時間によって避妊確率が変わるのは、アフターピルが"排卵を抑える・遅らせる"ことで妊娠を防ぐ薬であるためです。
排卵が進んでしまうほど、薬の作用が間に合わなくなり、効果が下がってしまいます。
避妊できるかどうかを左右する最大の要因は排卵のタイミング
アフターピルは、排卵を遅らせることで受精そのものを防ぐ薬です。
そのため、性行為の時点や服用した時点で、すでに排卵が起きていたかどうかが、避妊の成否を大きく左右します。
- 排卵直前のタイミングだった場合
- すでに排卵後だった場合
このような状況では、アフターピルの作用が間に合わず排卵が起こり、妊娠につながる可能性が否定できません。
つまり、「服用の早さ」⇒「排卵を遅らせられるか」⇒「妊娠を防げるか」という一連の流れが、アフターピルの効果を決める最大のポイントとなります。
アフターピルの効果で検査薬が陽性になることはありません
妊娠検査薬は、アフターピルの成分によって陽性になることはありません。
検査薬が反応するのは、妊娠が成立したときに身体で分泌されるhCG（ヒト絨毛性ゴナドトロピン）という妊娠ホルモンです。
アフターピルの成分は、hCGとは全く別の物質であるため、薬の影響で誤って陽性が出ることはありません。
そのため、アフターピルを服用後に妊娠検査薬で陽性反応が出た場合は、薬の作用ではなく、実際にhCGが体内で増えている可能性が高いということになります。
「アフターピルのせいで陽性になったのでは…」と心配される方もいらっしゃいますが、薬そのものが検査結果を変えてしまうことはありません。
検査薬の仕組みを知っていただくことで、現在の状況をより正確に判断し、不安が少しでも和らぐことを願っています。
陽性反応が出たら取るべき行動
妊娠検査薬で陽性が出た場合は、まず自己判断で結論を急がず、産婦人科を受診することが大切です。
とはいえ、突然の陽性反応に驚かれ、「本当に陽性なのか確かめたい」と感じる方も多いと思います。次の目安を参考に、落ち着いて状況をご確認ください。
生理予定日から1週間以上遅れている場合
アフターピルの影響で、生理周期が一時的に乱れたり、排卵が遅れたりすることはよくあります。
ただし、生理予定日から1週間以上経っても出血がない場合は、妊娠している可能性が高まります。
ご不安を少しでも軽くするためにも、もう一度検査を行うか、早めに産婦人科を受診して状況を確認されることをおすすめします。
性行為から2週間以上経過している場合
市販の妊娠検査薬は、妊娠すると分泌されるhCGホルモンが一定量に達してから反応する仕組みです。
一般的には、「性行為から約3週間後」または「生理予定日から1週間後」に検査をすると、より正確な結果が得られるとされています。
そのため、性行為から2週間以上経過した時点で陽性反応が出た場合は、その結果の信頼性は高いと考えてよいでしょう。
陰性と陽性が混在する場合の考え方
妊娠検査薬の結果が日によって異なると、不安な気持ちが強くなると思います。
まずは、次のようなケースが起こり得ることを知っておきましょう。
最初は陰性・後日陽性になった場合
検査のタイミングが早すぎて、妊娠ホルモン（hCG）がまだ十分に検出されなかった可能性があります。
時間の経過とともにhCGが増えることで、後から陽性に変わることがあります。この場合は、妊娠している可能性が高いと考えられます。
最初は陽性・後日陰性になった場合
妊娠検査薬は、使用するタイミングや体内のhCG量によって結果が揺れることがあるため、最初の陽性が正しい反応ではなかった可能性があります。
また、妊娠のごく初期には、自然に妊娠が継続しなくなることがあり（いわゆる化学流産）、その影響で結果が変わるケースもあります。
少し時間を置いて再度検査を行うことで、より正確な状況が確認しやすくなります。
薄い陽性反応が出た場合
薄くても線が確認できる場合は、妊娠初期である可能性が高いです。
数日後に再度検査をしていただくか、不安が大きい場合は、その時点で受診していただいても問題ありません。
※なお、アフターピルを服用しても妊娠が成立することはあり、現時点の医学的知見では、アフターピルの成分による胎児への明確な悪影響は確認されていません。過度にご不安にならず、早めに医療機関へご相談ください。
陽性が出たときの選択肢と受診の目安
妊娠の可能性があることがわかった場合は、妊娠の確定診断（妊娠週数・安全性の確認）のために産婦人科を受診することが大切です。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、患者さまのお気持ちや状況を丁寧に伺いながら、今後の選択肢についてわかりやすくご説明しています。
妊娠継続を考えている方へ
妊娠が続いていることを確認し、母体と赤ちゃんの安全を守るために、次のような診察や検査を行います。
妊娠週数の確認
超音波検査で胎嚢（たいのう）や心拍を確認し、正確な妊娠週数と出産予定日を確定します。これは、今後の健診スケジュールを決める大切な工程です。
妊娠継続を望まない方へ
予期せぬ陽性反応で、戸惑いや不安を抱えるのは自然なことです。
どのようなお気持ちであっても、ご自身を責める必要はまったくありません。
週数に応じた中絶方法のご案内
妊娠週数によって選択できる方法が異なるため、医師が安全性を確認しながら最適な方法をご説明します。
相談のタイミングについて
迷いが生じた時点でご相談いただいて構いません。早めに受診していただくことで、身体的・精神的負担が少ない選択肢を取りやすくなります。
どちらの場合でも、どうかお一人で抱え込まずにご相談ください。
当院では、患者さまのご意向と安全を最優先に、安心してお過ごしいただけるようサポートいたします。
よくあるご質問
アフターピルを飲んだのに陽性になるのはなぜですか？
アフターピルは高い避妊効果がありますが、残念ながら100％妊娠を防げる薬ではありません。服用のタイミングや、その時の排卵の状況によっては薬の作用が追いつかず、妊娠が成立することがあります。その際は、妊娠によって分泌されるhCG ホルモンに検査薬が反応し、陽性となります。
アフターピルで生理が遅れる＝妊娠ですか？
アフターピルを服用すると、薬の作用によって一時的に生理周期が乱れ、生理が遅れることはよくあります。そのため、「生理が遅れている＝妊娠している」というわけではありません。ただし、生理予定日から一週間以上遅れている場合・生理予定日がはっきりしないが、性行為から三週間以上経過している場合には、妊娠の可能性も考える必要があります。そのような場合は、妊娠検査薬を使用しましょう。
アフターピル服用後に薄い陽性（うっすら線）が出たのはなぜですか？
薄くても線が見える場合は、妊娠のごく初期である可能性があります。妊娠初期は体内のhCGホルモン量が少ないため、検査薬の線が薄く表示されることがあります。もし妊娠している場合は、数日でhCGが増えるため、線が濃くはっきり見えるようになります。2〜3日後に再検査を行うか、不安が強い場合はその段階で受診していただいて構いません。なお、アフターピルの薬の成分が妊娠検査薬を陽性にしたり、うっすら線を出すということはありません。
