中絶の補助金制度はある?福岡市の妊婦支援給付金とは
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監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
産婦人科専門医

中絶手術の費用そのものを直接補助する制度は、現在の日本にはありません。
しかし、「妊娠したこと」に対する支援として利用できる制度=妊婦支援給付金というものが存在します。
本記事では、補助制度の基本的な考え方から、福岡市にお住まいの患者さまが活用できる妊婦支援給付金の内容や注意点について、産婦人科専門医の立場から分かりやすく解説します。
目次
中絶に補助金・助成金は使える?
中絶を検討される際、「費用はどのくらいかかるのだろう」「何か利用できる制度はないのだろうか」と、不安を感じる方は少なくありません。
こちらではまず、日本における人工妊娠中絶の費用の位置づけと、公的な支援制度に関する基本的な考え方について見ていきましょう。
中絶手術は原則「自費診療」です
日本における人工妊娠中絶は、病気やけがの治療とは異なり、原則として自費診療(自由診療)に分類されます。
そのため、健康保険は適用されません。
中絶手術の費用は、妊娠週数や手術方法、医療機関によって異なります。
保険診療のように、全国一律の金額が定められているわけではないため、事前に確認が必要です。
このような仕組みも、費用について不安を感じやすい理由の一つと言えるでしょう。
中絶費用を直接補助する制度は?
結論から申し上げますと、現在の日本の制度において、中絶手術の費用そのものを目的として、国や自治体から直接支給される補助金・助成金はありません。
ただし、中絶を目的とした制度ではなくても、「妊娠したこと」に対する支援として活用できる制度は存在します。
それが、国が実施し、福岡市でも導入されている妊婦支援給付金(出産・子育て応援交付金)です。
この妊婦支援給付金は、「出産を前提とした支援」ではありません。
妊娠の事実を確認し、自治体へ妊娠届出を行ったすべての妊婦さんを対象に、経済的・精神的な支援を行うことを目的とした制度です。
ここからは、福岡市における妊婦支援給付金の具体的な仕組みや支給内容、申請時の注意点について、さらに詳しく解説していきます。
福岡市の妊婦支援給付金とは

福岡市では、国の制度に基づき、すべての妊婦さんが安心して妊娠期間を過ごせるよう、相談支援と経済的支援を一体とした事業を実施しています。
それが「妊婦支援給付金」です。
この制度は、単にお金を給付することだけを目的としたものではありません。
妊娠期に孤立しやすい方が、行政や医療機関とつながり、必要な情報や支援に適切にアクセスできるようにすることを大切にした制度です。
妊婦支援給付金の目的と背景
妊娠がわかったときの受け止め方は、人それぞれです。
喜びを感じる方がいらっしゃる一方で、予期せぬ妊娠や経済的な不安、周囲に相談できない事情などから、強い不安や孤独感を抱える方もいらっしゃいます。
妊婦支援給付金は、こうしたさまざまな背景を踏まえ、妊娠期から切れ目なく寄り添い、必要な支援につなげていくことを目的として設けられた国の制度です。
妊娠や出産に関する悩みを一人で抱え込まず、安心して相談できる環境を整えることも、この制度の大切な役割の一つです。
福岡市では、
「妊婦の産前産後期間における身体的・精神的・経済的負担を軽減し、妊婦や胎児である子どもの保健及び福祉の向上に寄与すること」
を目的として、妊婦支援給付金を支給しています。
※令和7年4月1日以降に出産された、または出産予定の方が対象となり、所得による制限はありません。
※制度内容は変更される可能性があります。最新情報は福岡市の公式サイトをご確認ください。
対象となる方・申請の条件
妊婦支援給付金は、妊娠の届出および所定の申請を行うことで、原則2回に分けて給付されます。
それぞれの支給時期ごとに、対象となる条件が定められています。
1回目の支給(妊娠届出時)
以下のいずれかに該当する方が対象です。
- 令和7年4月1日以降に妊娠届出および妊婦給付認定の申請を行い、認定を受けた妊婦の方
※この申請には、医療機関で胎児の心拍が確認されていることが必要です。 - 令和7年3月31日までに妊娠届出を行ったものの、旧事業(出産・子育て応援事業)において、妊娠届出時の給付金を申請していない方
2回目の支給(出産前後)
妊婦給付認定を受けた方のうち、出産予定日の8週間前以降に「胎児の数の届出」を行った方が対象となります。
なお、令和7年4月1日以降に、流産・死産・人工妊娠中絶などにより妊娠が継続しなかった場合であっても、支給の対象となることがあります。
申請の可否や手続きの詳細は状況によって異なるため、事前に自治体へ確認しておくと安心です。

心拍は、妊娠何週ごろから確認できますか?

個人差はありますが、胎児の心拍は妊娠6〜7週ごろに、超音波検査で確認できることが多いです。この週数は、最終月経日から単純に日数を数えたものではなく、超音波検査で見える胎嚢や胎芽の大きさなどをもとに判断します。そのため、ご自身が思っている妊娠週数と、医療機関で診断される妊娠週数がずれることがあります。診察時にご説明いたしますのでご安心ください。
給付額はいくら?(2回に分けて支給される仕組み)
妊婦支援給付金は、妊娠期から出産前後までを切れ目なく支えるため、2回に分けて現金で支給される制度です。
| 1回目の支給(妊娠届出時) | 妊婦1人につき 5万円 |
|---|---|
| 2回目の支給(出産前後) | 胎児1人につき 5万円 |
※双子などの多胎妊娠の場合は、胎児の人数分が支給対象となります。 | |
申請の流れ(妊娠届出〜給付まで)

妊婦支援給付金を受けるためには、福岡市での妊婦給付認定を受ける必要があります。
申請は、まずメールアドレスを登録したうえで、福岡市が指定するオンライン申請フォームから行います。
手続きは原則としてオンラインで完結しますが、申請内容や状況によっては、追加の確認が必要となる場合もあります。
※制度についてご不明点がある場合は、福岡市の窓口へお問い合わせください。
申請のためのアドレス登録(福岡市)妊婦支援給付金申請フォーム(福岡市)申請に必要な書類
妊婦支援給付金の申請には、以下の書類が必要です。
- 本人確認書類
- 振込先希望口座が確認できる書類
- 医師の診断書等の写し

申請に必要な診断書を書いてもらえますか?

はい。ひよりレディースクリニック福岡博多では、妊婦支援給付金の申請に必要な診断書をご用意することが可能です。ご希望の方は、ご予約時またはご来院の際にお申し出ください。なお、診断書の作成には5,500円(税込)を頂戴しております。あらかじめご了承ください。
※なお、妊婦支援給付金の制度上、医療機関で胎児の心拍が確認されていることが給付の条件となります。
そのため、中絶手術を行う時点で心拍が確認できていない場合には、診断書を作成できず、給付金の申請対象とならないことがあります。
申請が可能かどうかについてご不安がある場合は、状況を確認しながら、個別にご説明いたします。どうぞ遠慮なくご相談ください。
予期せぬ妊娠がわかったら早めの受診が大切です
予期せぬ妊娠がわかったとき、「費用が心配」「誰にも相談できない」「どうすればいいかわからない」と悩み、受診をためらってしまう方は多くいらっしゃいます。
しかし、人工妊娠中絶は、母体保護法により妊娠22週未満までと定められており、妊娠週数が進むほど、身体への負担や手術費用が大きくなる傾向があります。
経済的な不安があるからこそ、できるだけ早い段階で状況を確認することが大切です。
「まだ何も決められていない」「どうしたらいいかわからない」
そのような段階でも構いません。
まずは一度、当院やお近くの産婦人科までご相談ください。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、患者さまのプライバシーを最優先に考え、痛みに配慮した初期中絶手術(妊娠12週未満)を行っています。
また、今回ご紹介した妊婦支援給付金の申請に必要となる診断書の作成についても、状況に応じて速やかに対応しております。
どうぞお一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。








