アフターピルは不妊に繋がる・妊娠しにくくなるという噂について
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監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
産婦人科専門医

アフターピルの服用が不妊につながることはありません。
本記事では、この点が医学的に明確である理由をわかりやすく解説するとともに、「不妊になる」という噂が広まった背景や、避妊をせず妊娠を繰り返すことの方が将来の妊娠に影響し得る場合についても解説します。
目次
アフターピルで不妊になることはありません

結論として、アフターピルの服用によって将来的に不妊につながることはありません。
この点は、世界保健機関(WHO)を含む国際的な専門機関によって医学的に明確に示されています。
さらに、学術誌Contraceptionに掲載された研究では、次のように報告されています。
(日本語訳)レボノルゲストレルによる緊急避妊薬(LNG-EC)は、排卵を遅らせるまたは抑制することで作用し、排卵後に大きな影響を与えないことが確認されている。
レボノルゲストレルECへの曝露が、胎児の発育、流産、死産、またはその後の月経に影響を及ぼすという証拠は見つからなかった。
このように、アフターピルが生殖機能そのものにダメージを与えるという科学的根拠は存在しません。
アフターピルは、排卵のタイミングを一時的に調整することで妊娠を防ぐ薬です。作用は一時的で、卵巣や子宮を傷つけることはなく、妊娠力が低下することもありません。
アフターピルに含まれるホルモンは、数日のうちに代謝・排出されます。その後は身体が自然に元のホルモンバランスに戻り、通常どおり排卵が再開します。
ここからは、そもそも“アフターピルとはどのような薬なのか”について、ご説明します。
アフターピルとは?
アフターピルとは、避妊に失敗した場合や、避妊ができなかった性行為の後に、妊娠を防ぐために緊急的に使用する薬です。
現在、日本で使用されているアフターピルは主に2種類あり、それぞれ有効成分や服用できる時間、作用の強さに違いがあります。
アフターピルの種類と特徴
| レボノルゲストレル | ウリプリスタール酢酸エステル | |
|---|---|---|
| 服用期限 | 72時間(3日)以内 | 120時間(5日)以内 |
| 主な作用 | 排卵の抑制 排卵の遅延 子宮頸管粘液の変化(精子が上がりにくくなる補助的作用) | 排卵の抑制 排卵の遅延(レボノルゲストレルより強力) 子宮頸管粘液の変化(精子が上がりにくくなる補助的作用) |
ひよりレディースクリニック福岡博多では、上記2種類のアフターピルを処方しています。
アフターピルについて詳しく知る「不妊につながる」という噂が広まった理由
アフターピルが不妊につながるという噂は、医学的な事実ではなく、主に誤解が重なって広まったものと考えられます。
特に、次の2つが大きな要因です。
生理周期の変化を「異常」と誤解した体験談が広まった
アフターピルは、排卵に関わるホルモンに一時的に働きかけるため、
- 月経周期が早くなる・遅くなる
- 一時的な不正出血がみられる
といった変化が起こることがあります。
これらは薬の作用による“一時的なホルモン変動”であり、身体が異常をきたしたわけではありません。
しかし、一部の体験談では、「生理が遅れた=生殖機能が壊れた」「不正出血=子宮に異常が起こった」と誤解された内容がそのまま広まり、不妊につながるという噂のきっかけになったと考えられます。
医学的には、生理周期の変化は一過性で、その後の妊娠能力に影響が残ることはありません。
頻繁な使用は避けるべきという説明が不妊リスクと混同された
アフターピルは「緊急避妊薬」であり、継続的に使用することを前提には作られていません。
これは、
- 避妊効果が長く続く薬ではない
- 頻繁に使用すると月経周期が乱れやすい
といった理由からです。
この「頻繁な使用はおすすめしない」という注意説明が、何度も使うと不妊になるという誤った解釈や、「身体に強い負担がかかる薬」という偏ったイメージにつながり、誤情報として広まった可能性があります。
しかし、頻繁に使っても“妊娠しにくくなる”という医学的根拠はありません。
あくまで、ホルモンバランスの一時的な乱れや生理周期の変動を避けるための注意であり、生殖能力とは別ものです。
アフターピルの副作用と“安全性”について

アフターピルには、個人差はありますが、いくつかの副作用がみられることがあります。
| 代表的な副作用 | 吐き気、嘔吐、頭痛、倦怠感、腹痛、乳房の張り、生理周期の変化など |
|---|
これらは多くが数日一時的に起こるもので、薬の成分が体内で代謝・排出されるにつれて自然に治まります。
副作用は“薬が効いているサイン”であり、生殖機能にダメージを与えるものではありませんので、ご安心ください。
副作用について詳しく知る避妊せず妊娠を繰り返すことの方がリスクとなる場合
アフターピルは、身体への負担をできるだけ抑えながら、意図しない妊娠を防ぐための「緊急時の安全策」です。
医学的な観点から見ると、避妊が十分でない状態で妊娠と中絶を繰り返すことのほうが、将来の妊娠や身体への負担につながる可能性があります。
中絶手術を繰り返す場合のリスク
人工妊娠中絶手術は、現在では安全性が確立された医療行為であり、適切な医療環境のもとで行われた場合、重い合併症が起こることは稀とされています。
一方で、どのような医療行為にも共通して言えることですが、手術の回数が重なる場合には、いくつか注意しておきたい点があります。
たとえば、掻爬(そうは)などの処置によって子宮内膜に負担がかかると、まれに内膜が薄くなり、その後の妊娠で着床に影響する可能性が指摘されています。
また、頻度は非常に低いものの、手術後に子宮内の感染が起こった場合には、将来の妊娠に影響を及ぼすことがあります。
アフターピルは、このような身体的・精神的な負担をできる限り避けるための、緊急時の大切な選択肢です。
ただし、アフターピルは継続的な避妊を目的とした薬ではありません。
将来の妊娠に安心して備えるためにも、普段から低用量ピルなどの確実性の高い避妊方法を検討されることをおすすめします。
より確実な避妊方法のご案内

将来の妊娠について不安を抱えることなく、安心して毎日を過ごすためには、“いざという時”だけでなく、普段から継続的な避妊を行うことがとても大切です。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、患者さまの体質やご希望、ライフスタイルに合わせて、確実性の高い避妊方法をご提案しています。
低用量ピル
毎日服用することで、高い避妊効果が期待できます。生理周期を整えたり、月経痛をやわらげたりする“副効用”がある点も特徴です。
ミニピル
低用量ピルに含まれる卵胞ホルモン(エストロゲン)を含まないため、血栓症リスクが気になる方や、授乳中の方でも使用しやすい選択肢です。
ミレーナ
子宮内に小さな器具を挿入し、5年間継続して高い避妊効果を得られる方法です。経血量が減り、生理痛が軽くなるなど、生理症状の治療目的で導入される方もいらっしゃいます。
避妊インプラント
腕の皮膚の下に細いスティック状のインプラントを挿入する方法で、約3年間安定した避妊効果が続きます。日本ではまだ普及段階ですが、当院では選ばれることの多い避妊方法です。
避妊方法と避妊率を見るアフターピルの処方はもちろん、日々の避妊方法についても、ぜひお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
アフターピルを何回服用すると不妊になりますか?
アフターピルを何回服用しても、不妊に繋がることはありません。アフターピルに含まれるホルモンは一時的に働くもので、将来の生殖機能が低下したり、妊娠しにくくなったりするという医学的根拠はありません。ただし、アフターピルは「緊急時」に使うための薬であり、継続的な避妊を目的として作られているわけではありません。繰り返しの使用によって生理周期が乱れやすくなることはありますが、それは一時的なホルモン変動によるもので、妊娠力そのものに影響が残るわけではありません。
生理が遅れています。大丈夫でしょうか?
アフターピルの影響で、生理周期が数日〜1週間ほどずれることは珍しくありません。一時的なホルモン変動によるもので、多くの場合は心配のいらない範囲です。ただし、アフターピルは非常に高い避妊効果を持つ一方で、100%妊娠を防げる薬ではありません。生理予定日を一週間以上過ぎても生理がこない場合は、妊娠の可能性が完全には否定できないため、妊娠検査薬で確認することをおすすめします。
アフターピルは授乳中でも飲めますか?
はい、授乳中でも服用できます。ただし、アフターピルの成分が母乳へ移行する可能性があるため、服用後24時間は授乳を控えてください。
学生でも処方してもらえますか?
はい。緊急の避妊が必要な方であれば、学生の方も受診していただけます。当院では、年齢に関わらず患者さまのプライバシーを大切にしており、まわりに知られたくない場合でも安心してご相談いただけます。なお、未成年(18歳未満)の方は、万が一のサポートや安全確保のため、保護者の方のご同席をお願いしております。









