避妊インプラントで生理は止まる?理由と正常・異常の見分け方
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監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
日本専門医機構認定産婦人科専門医
母体保護法指定医

本記事では、避妊インプラントで生理が止まることがある理由や、海外の臨床試験データも踏まえながら、正常な変化と受診すべき変化の見分け方をわかりやすく解説します。
目次
避妊インプラントで生理は止まる?
結論からお伝えすると、「生理が止まる方もいれば、止まらない方もいる」というのが正確な答えです。
避妊インプラントは、上腕の内側の皮下に細いロッドを挿入し、エトノゲストレルと呼ばれる合成プロゲステロン(黄体ホルモン)を持続的に放出する避妊法です。
日本ではまだ普及途上ですが、欧米では長時間作用型可逆的避妊法(LARC)の一つとして、信頼性の高い避妊方法として広く使用されています。
このエトノゲストレルが体内に持続的に放出されることで、主に以下の3つの作用が働きます。
- 排卵の抑制
- 子宮頸管粘液の粘稠度上昇(精子の侵入を防ぐ)
- 子宮内膜の菲薄化(着床しにくくする)
これらのうち、「排卵の抑制」と「子宮内膜の菲薄化」が、生理の変化に大きく関わります。
子宮内膜は、厚くなってから剥がれ落ちることで生理が起こります。
しかし、避妊インプラントの影響で子宮内膜が薄い状態が続くと、出血するほど内膜が厚くならず、生理が来なくなる(無月経になる)ことがあります。
臨床データで見る出血パターンの内訳
避妊インプラント使用中の出血パターンは、個人差が大きいことが知られています。
米国産婦人科学会(ACOG)の診療ガイドラインで引用されている11の国際臨床試験(923名)の統合データでは、以下のような出血パターンが報告されています。
| 無月経 ※生理が止まる | 約22% |
|---|---|
| 不規則出血 | 約34% |
| 頻発出血 | 約7% |
| 遷延出血 ※長引く出血 | 約18% |
出典:Implants and Intrauterine Devices(ACOG)
このデータから分かるように、生理が完全に止まる方は約5人に1人程度です。
一方で、何らかの形で出血パターンに変化がみられる方は大多数にのぼります。
重要なのは、避妊インプラントの挿入によって生理が止まること自体は、医学的に異常ではないという点です。
生理が止まるのは正常?異常との見分け方

避妊インプラント使用中は、出血パターンの変化がみられることが一般的です。
その多くはホルモン作用による正常な変化ですが、なかには受診が必要なサインが含まれていることもあります。
こちらでは、「様子を見てよい変化」と「受診を検討すべきサイン」を分けて解説します。
正常な変化(様子を見てよいケース)
| 無月経 ※生理が止まる | ホルモン作用により子宮内膜が薄い状態が保たれるため。医学的に問題ないことが多い |
|---|---|
| 月経量の著明な減少 | 子宮内膜が薄くなることで、出血量が少なくなる |
| 月経周期の不規則化 | 排卵が抑制されることで、周期が一定でなくなる |
| 不定期の少量出血 | 点状出血や少量出血が不規則にみられることがある |
これらは、ホルモン環境が変化することによって起こる生理的な反応です。
特に挿入後3〜6か月は出血パターンが安定しにくく、過渡的な変化としてみられることが一般的です。
多くの場合、数か月〜1年ほどで徐々に落ち着いていきます。
異常のサイン(受診を検討すべきケース)
以下のような症状がある場合は、避妊インプラントの影響だけでなく、感染症や子宮・卵巣の疾患が関係している可能性もあるため、お早めに産婦人科を受診してください。
- 大量出血が続く(ナプキンを1時間以内に交換する必要がある)
- 強い腹痛・骨盤痛を伴う出血
- 発熱を伴う出血
- 挿入部位の腫れ・赤み・痛み
- 出血が一度落ち着いた後に、急に増加した場合
不正出血はいつまで続く?

避妊インプラント挿入後の出血が「いつ頃落ち着くのか」は、使用を継続するかどうかを判断するうえで、多くの方が気にされるポイントです。
出血の経過には個人差がありますが、一般的には以下のような経過をたどることが多いとされています。
挿入後0〜3か月
最も出血が不安定になりやすい時期です。
頻回の出血や少量の出血が不規則に続くことがあり、「このまま続いて大丈夫なのか」と不安に感じる方も少なくありません。
これは、ホルモンが体に馴染む過程で子宮内膜の状態が変化しているためで、多くは正常な反応です。
挿入後3〜6か月
出血の頻度や量が徐々に落ち着いてくる方が増える時期です。
出血パターンがある程度一定になり、「これが自分の新しいリズム」と感じられるようになることもあります。
挿入後6〜12か月
多くの方で出血パターンが安定してきます。
この頃から無月経(生理が止まる状態)に移行する方もみられます。
1年以上の継続使用
最終的な出血パターンが確立され、安定した状態が続くことが多くなります。
「いつまでも落ち着かない」と感じたら
挿入後6か月を過ぎても頻繁な出血が続く場合や、日常生活に支障が出るほどの出血がある場合は、一度ご相談いただくことをおすすめします。
出血パターンが気になる場合には、状態に応じて
- 一時的にホルモン療法(ピルなど)を併用する
- 他の避妊方法への変更を検討する
といった対応が検討されることもあります。
妊娠の可能性はある?
「生理が止まっていると、妊娠に気づきにくいのでは?」と不安に感じる方もいらっしゃいます。
まず知っておきたいのは、避妊インプラントは非常に高い避妊効果を持つ方法であり、正しく使用していれば妊娠の可能性は極めて低いという点です。
インプラント使用中の避妊効果
FDAによると、避妊インプラントは現在利用可能な避妊法の中でも非常に高い有効性を持ちます。
| Pearl Index (妊娠率) | 約0.38 |
|---|
※100人が1年間使用しても、1人未満しか妊娠しない計算です
飲み忘れなどの影響を受けるピルとは異なり、使用者の行動に左右されにくいため、実際の使用環境でも安定した避妊効果が得られる点が特徴です。
それでも妊娠の可能性がゼロではない理由
避妊効果は非常に高いものの、ごくまれに以下のような状況で効果が低下する可能性があります。
- 避妊インプラントの挿入直後(特に最初の一定期間)の性行為
- インプラントの位置ずれや挿入不良(非常にまれ)
- 特定の薬剤との相互作用(例:一部の抗てんかん薬、抗HIV薬、リファンピシンなど)
「妊娠かも」と思ったら
避妊インプラント挿入後でも、以下のような症状がある場合は妊娠の可能性を考え、妊娠検査薬を使用してください。
- これまであった出血が急になくなった
- 吐き気・乳房の張りなど、妊娠初期を思わせる症状がある
- 下腹部痛などの症状がある
特に注意したいのが、子宮外妊娠(異所性妊娠)です。
避妊インプラント使用中の妊娠は非常にまれですが、妊娠した場合には子宮外妊娠である可能性も否定できないため、早期の確認が重要です。
少しでも気になる症状がある場合は、自己判断せず、お早めにご相談ください。
受診をおすすめする症状

以下の症状がある場合は、自己判断せず産婦人科を受診してください。
症状の緊急度に応じて、受診の目安をまとめています。
すぐに受診すべき症状(緊急性が高い)
- 腹部・骨盤部の激しい痛み:子宮外妊娠・卵巣捻転の可能性
- 高熱(38℃以上)+出血:子宮・付属器感染症の可能性
- 大量出血(1時間以内にナプキン交換が必要):ホルモン異常・器質的疾患の可能性
- 挿入部位の強い腫れ・膿・激しい痛み:感染症の可能性
早めに受診したほうがよい症状(数日〜1週間以内)
- 少量でも3週間以上出血が続いている
- 挿入後6か月以上経過しても出血が安定しない
- ロッドが触れなくなった/位置が分からない
- 妊娠の可能性を否定できない症状がある
相談・確認でよい症状(次回の受診時でも可)
- 生理が完全に止まっているが、体調に問題がない
- 月経量が大きく減少した
- 月経周期が不規則だが、出血量は少量で安定している
福岡で避妊インプラントを検討中の方へ
避妊インプラントは、長期間にわたり高い避妊効果が期待できる方法であり、毎日の服用管理が難しい方や、確実な避妊を希望される方にとって有効な選択肢です。
一方で、生理が止まる・不規則になるといった出血パターンの変化に不安を感じる方も少なくありません。
そのため、事前に正しい知識を持ち、ご自身に合った方法かどうかを確認することが大切です。
ひよりレディースクリニック福岡博多では、避妊インプラントの挿入からアフターフォロー、抜去まで一貫して対応しており、患者さまのご不安やご希望を丁寧にお伺いしながら診療を行っています。
福岡で避妊インプラントをご検討の方は、ひよりレディースクリニック福岡博多まで、ぜひお気軽にご相談ください。










