大人のMRワクチンは何回打つ?接種回数・間隔・妊娠前の注意点
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監修者|橋田修医師
ひよりレディースクリニック福岡博多院長
日本専門医機構認定産婦人科専門医
母体保護法指定医

MRワクチンは、麻しん(はしか)と風しんを同時に予防できる混合ワクチンです。
成人に接種が推奨される場面は多いものの、「何回接種すればよいのか」「どのくらい間隔を空ければよいのか」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、産婦人科専門医監修のもと、大人のMRワクチンに関する接種回数や間隔、抗体検査の考え方についてわかりやすく解説します。
目次
大人のMRワクチンは何回接種が必要?

大人のMRワクチンは、接種歴や抗体の有無によって異なりますが、原則として2回接種が推奨されます。
ただし、過去のワクチン接種体制の違いにより、1回のみ接種している方や、接種歴が不明なまま成人している方も少なくありません。
そのため、まずはご自身の接種歴を確認し、不足している場合や不明な場合は、追加接種や抗体検査を検討することが重要です。
麻しん・風しんはいずれもワクチンで予防可能な感染症です。
特に風しんは、妊娠中に感染すると胎児に影響を及ぼす可能性があるため、成人になってからの免疫状態の確認が重要です。
原則「2回接種」が推奨される理由
MRワクチンは生ワクチンであり、1回の接種でも多くの方に免疫がつきますが、約5〜10%の方では十分な免疫応答が得られない場合があります。(一次性ワクチン不全)
そのため、2回接種を行うことで、1回目で免疫がつかなかった方も含め、ほとんどの方で十分な免疫が得られる状態に近づきます。
また、2回目の接種は追加免疫(ブースター)としての役割もあり、免疫の持続性を高める点でも有効です。
これらの理由から、より確実に免疫を獲得するため、原則として2回接種が推奨されています。
追加接種不要または1回でよいケース
以下に該当する場合は、追加接種が不要、または新たな接種を行わず経過をみることがあります。
すでに2回接種済みの場合
母子手帳や予防接種記録で2回の接種歴が確認できる場合は、原則として追加接種は不要です。
ただし、接種から長期間が経過している場合は、抗体検査で確認することでより安心につながります。
抗体価が十分な場合
血液検査で麻しん・風しんともに十分な抗体価が確認されている場合は、新たに接種を行う必要はありません。
一方で、妊娠を希望されている場合は、一般的な基準(HI法16倍以上)よりも厳しい基準(HI法32倍以上)が推奨されることがあります。
そのため、状況に応じて医師と相談のうえ、対応を検討します。
2回接種が必要なケース
以下に該当する場合は、2回の接種を検討することが推奨されます。
1回しか接種していない場合
過去に1回のみ接種した記録がある場合は、追加で1回接種することで、免疫を十分な状態に近づけることができます。
特に1990年代以前に定期接種を受けた世代では、制度上1回のみの接種にとどまっているケースが多く見られます。
そのため、成人後に改めて追加接種を行うことが重要です。
1回接種のみでは、前述のとおり一定割合で免疫が不十分となる可能性があるため、2回接種によって免疫を確実にすることが推奨されます。
抗体価が低い・陰性の場合
抗体検査の結果、麻しんまたは風しんの抗体価が低値、あるいは陰性と判定された場合は、ワクチン接種が推奨されます。
抗体が不十分な状態では、感染リスクが残るだけでなく、周囲への感染拡大につながる可能性もあります。
そのため、抗体検査の結果に応じて適切に接種を行うことが重要です。
また、母子手帳を紛失している場合など、接種歴が不明な方については、抗体検査を行ったうえで接種の必要性を判断することも可能です。
特に妊娠を希望されている方は、妊娠中に風しんへ感染すると胎児に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠前に抗体の有無を確認し、不十分であれば接種を済ませておくことが強く推奨されます。
MRワクチンの接種間隔はどれくらい空けるべき?

MRワクチンを2回接種する場合、1回目と2回目の間隔は27日以上(約4週間以上)空ける必要があります。
これは国内外のガイドラインで定められている基準であり、免疫が適切に形成されるために必要な期間です。
この間隔を空けることで、1回目の接種によって誘導された免疫反応が安定し、2回目の接種によってより確実な免疫が獲得されやすくなります。
また、MRワクチンは生ワクチンに分類されるため、他の生ワクチン(水痘、おたふくかぜ等)と同時接種を行わない場合は、次の接種まで27日以上の間隔を空ける必要があります。
(なお、不活化ワクチンとの間隔に制限はありません。)
複数のワクチン接種を検討している場合は、全体のスケジュールを踏まえて調整することが重要です。
接種時期や間隔について不安がある場合は、個別の状況に応じて調整が必要となるため、医師にご相談ください。
間隔が空きすぎた場合は?
「1回目を接種したあと、2回目の接種を受けられていない」というご相談をいただくことがありますが、最初からやり直す必要はありません。
たとえ数か月〜数年単位で間隔が空いていたとしても、1回目の接種で得られた免疫の基盤は身体に残っています。
2回目の接種(追加接種)を受けることで、免疫をさらに確実なものにすることができます。
未接種の状態が続くこと自体がリスクとなりますので、「遅れてしまった」と気づいた時点で、速やかに2回目の接種を受けることが大切です。
抗体検査の判断基準
抗体検査の結果は、「陽性/陰性」または「抗体価(数値)」で示されます。
実際の判断は数値をもとに行われ、以下が一般的な目安となります。
麻しん(はしか)
| 抗体価(EIA法) | 判定 |
|---|---|
| 16以上 | 十分(接種不要) |
| 4〜8 | 要相談 |
| 2以下 | 不十分(接種推奨) |
風しん
| 抗体価(HI法) | 判定 |
|---|---|
| 32以上 | 十分(接種不要) |
| 8〜16 | 要相談 |
| 4以下 | 不十分(接種推奨) |
これらはあくまで目安であり、検査方法や測定機関によって基準値が異なる場合があります。
最終的な判断は、結果をもとに医師と相談のうえ決定することが重要です。
また、「要相談」と判定された場合は、年齢や接種歴、妊娠希望の有無などを踏まえて、追加接種の必要性を個別に判断します。
麻しん(はしか)のリスクは?
麻しんは、非常に感染力の強いウイルス感染症で、免疫を持たない方が感染した場合、ほぼ100%発症するとされています。
主な症状は、高熱・咳・鼻水・結膜炎などで、数日後に全身へ発疹が広がります。
多くは回復しますが、肺炎や中耳炎などの合併症を伴うことがあり、まれに脳炎(約1,000人に1人)を発症することもあります。
さらに、感染後数年〜十数年を経て、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)と呼ばれる重篤な神経疾患を発症する可能性も知られています。
成人が感染した場合は重症化しやすい傾向があり、有効な治療薬もないため、予防接種による予防が最も重要です。
近年では、海外からの持ち込みを契機とした集団感染も報告されており、成人においても注意が必要です。
風しんのリスクは?
風しんは比較的軽症で経過することが多い感染症ですが、妊娠中の感染が胎児に重大な影響を及ぼす点が最大のリスクです。
妊娠していない場合の症状
発熱・発疹・リンパ節腫脹などがみられ、通常は数日〜1週間程度で回復します。
成人では関節痛を伴うことがあります。
また、約15〜30%は症状が出ないまま感染・回復することもあります。(不顕性感染)
妊娠中に感染した場合のリスク
風しんウイルスは胎盤を通じて胎児に感染する可能性があります。
特に妊娠20週以前の感染では、先天性風しん症候群(CRS)のリスクが高まります。
妊娠初期(特に12週以前)では、胎児に影響が及ぶ確率が非常に高いとされており、重篤な後遺症につながる可能性があります。
主な症状は以下の通りです。
- 難聴(最も多い)
- 白内障・緑内障などの眼の異常
- 先天性心疾患
- 発達障害・知的障害
これらの症状は、出生後に気づかれることもあり、適切なサポートを受けながら経過をみていくことが大切です。
妊娠中は接種できない理由

MRワクチンは生ワクチンに分類されるため、妊娠中の接種は禁忌(行ってはならない)とされています。
生ワクチンには弱毒化したウイルスが含まれており、理論上、胎児への影響を完全には否定できないことが理由です。
これまでに妊娠中に誤って接種された報告はありますが、現時点では重大な影響が確認されたという明確なデータは限られています。
ただし、安全性が十分に確立されているとはいえないため、妊娠中の接種は避ける必要があります。
接種後の避妊について
MRワクチン接種後は、少なくとも2か月間の避妊が推奨されています。
接種前には妊娠していないことを確認したうえで、接種を受けてください。
すでに妊娠が判明している場合は接種できません。
その場合は、出産後に接種を検討します。なお、授乳中の接種は可能とされています。
また、産後の入院中に接種を行える医療機関もありますので、ご希望の方は医師へご相談ください。
妊娠を希望されている方へ
風しんは、過去に感染したことがある方やワクチン接種済みの方でも、年月の経過とともに抗体価が低下している場合があります。
そのため、妊娠を希望されている方は、事前に抗体検査を受け、必要に応じてワクチン接種を済ませておくことが重要です。
料金表
| 風しん抗体検査 (福岡市助成) | 無料 |
|---|---|
| 風しん抗体検査 (自費) | 2,900円 |
| 麻しん抗体検査 (自費) | 4,400円 |
| MRワクチン (福岡市) | 3,000円 |
| MRワクチン (自費) | 10,000円 |
※初診料2,200円、再診料1,100円を別途頂戴します。 ※助成に関する詳細は福岡市のホームページをご確認ください。 | |
MRワクチンの接種の流れ
ひよりレディースクリニック福岡博多でのMRワクチン接種は、以下の流れでご案内しています。
初めての方でもスムーズに受診いただけます。
Step1
ご予約(LINE・WEB・電話)
WEB予約(「予防接種」を選択)またはお電話にてご予約ください。
ご予約後は、事前にWEB問診へご回答いただくことで、当日のご案内がスムーズになります。Step2
診察
医師が接種前の診察を行います。
現在の体調や既往歴、服用中のお薬、アレルギーの有無などを確認し、接種が可能かを判断します。ご不安な点があれば、この時点でご相談いただけます。Step3
接種
上腕に皮下注射で接種します。接種自体は短時間で終了し、多くの場合は数秒程度です。
痛みは比較的軽度ですが、個人差があります。Step4
院内待機(約30分)
まれにアナフィラキシーなどの即時型アレルギー反応が起こる可能性があるため、接種後は院内で一定時間お待ちいただきます。
体調に変化があった場合は、すぐにスタッフが対応できる体制を整えています。Step5
お会計・終了
体調に問題がなければ、お会計後、そのままお帰りいただけます。
接種後に、接種部位の腫れや発熱などの症状がみられることがありますが、多くは数日以内に軽快します。気になる症状がある場合は、お気軽にご連絡ください。
福岡でMRワクチンを受けるなら
ひよりレディースクリニック福岡博多では、MRワクチンの接種ができる婦人科です。
産婦人科専門医が診察を担当し、妊娠を希望されている方や妊活中の方のご相談にも丁寧に対応いたします。
接種の必要性やタイミングについても、お一人おひとりの状況に応じてご提案いたします。
また、抗体検査からワクチン接種まで一貫して対応しておりますので、「まずは抗体の有無を確認したい」という方にもご利用いただけます。
接種歴が不明な方や、どのように進めるべきか迷われている方も、どうぞお気軽にご相談ください。
MRワクチンのよくあるご質問
MRワクチンは何歳まで受けられますか?
年齢の上限はなく、成人の方はもちろん、ご高齢の方でも接種可能です。ただし、妊娠中の方は接種できません。また、発熱や体調不良がある場合、重い基礎疾患がある場合などは、接種を見合わせることがあります。接種が可能かどうかは、事前の診察で健康状態を確認したうえで、医師が総合的に判断いたします。ご不安な点がある場合は、事前にご相談ください。
1回だけでも効果はありますか?
1回の接種でも、一定の免疫効果は期待できます。ただし、約5〜10%の方では1回の接種だけでは十分な免疫が得られない場合があります。そのため、より確実に免疫を獲得するためには、2回接種が推奨されています。接種歴が1回のみの方や、免疫の有無が不明な場合は、追加接種または抗体検査について医師へご相談ください。
風しんの抗体がつかないのですが、何度も受けるべきですか?
2回接種を行っても抗体価が上がりにくい方は、一定数いらっしゃいます。現時点では、2回接種後も抗体が十分に上がらない場合、3回目以降の追加接種は原則として推奨されていません。繰り返し接種を行っても免疫応答が得られる可能性は高くなく、有効性や必要性に関する十分なエビデンスが確立されていないためです。妊娠を希望されている場合は、抗体が低値であることを医師にお伝えいただき、感染リスクを最小限にするための対策を検討することが重要です。具体的には、パートナーの抗体確認やワクチン接種に加え、流行期には人が密集する場所を避けるなど、感染リスクが高い状況をできるだけ避けることが重要です。抗体のつきやすさには個人差があります。不安を感じている場合は、まずは医師にご相談ください。
子どもの頃に打っていれば接種は不要ですか?
子どもの頃にMRワクチンを2回接種していることが確認できる場合は、原則として追加接種の必要はありません。ただし、妊娠を希望されている方などで免疫状態に不安がある場合は、抗体検査で現在の免疫の有無を確認することをおすすめします。接種歴が不明な場合や、1回のみの接種にとどまっている場合は、追加接種について医師へご相談ください。
男性も接種したほうがいいですか?
はい、男性も接種を検討することが推奨されます。風しんは、男性から妊娠中のパートナーへ感染するケースがあり、過去の流行でも成人男性が感染源となった事例が多く報告されています。そのため、ご自身の予防だけでなく、周囲の方を守るためにも接種が重要です。特に、パートナーが妊娠を希望している場合や妊娠中の場合は、接種歴や抗体の有無を確認し、必要に応じてワクチン接種を検討することが大切です。








