ラクトフェリンは妊活に効果がある?子宮内フローラとの関係を論文から解説
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監修者|橋田修医師
本記事は、ひよりレディースクリニック福岡博多の院長で、日本専門医機構認定産婦人科専門医・母体保護法指定医の橋田修医師が監修しています。(2026年10月時点)

ラクトフェリンは、子宮内フローラ(子宮内の細菌の集まり)への影響が研究されている成分です。
飲んだあとに、腟内や子宮内の乳酸菌の割合が増えたという報告があります。ただし、妊娠率や出産率を高める効果は、現時点では確立していません。
本記事では、ラクトフェリンと妊活の関係を調べた2019年・2022年の研究論文をもとに、菌の構成の変化や妊娠・出産成績について、わかりやすく解説します。
目次
ラクトフェリンとは?乳酸菌(ラクトバチルス)との違い

母乳などに含まれる、鉄と結びつくたんぱく質
ラクトフェリンは、母乳や牛乳などに含まれるたんぱく質です。
鉄と結びつく性質を持ち、実験研究では、細菌の増殖を抑える作用が確認されています。
サプリメントには、主に牛乳から取り出したラクトフェリンが使用されます。
ラクトフェリンとラクトバチルスは異なるもの
子宮内フローラの研究でよく登場する「ラクトバチルス」は、乳酸菌の一種です。
名前は似ていますが、ラクトフェリンはたんぱく質、ラクトバチルスは生きた細菌で、まったく別のものです。
| ラクトフェリン | ラクトバチルス | |
|---|---|---|
| 種類 | たんぱく質 | 乳酸菌の仲間 |
| 特徴 | 鉄と結びつく性質がある | 乳酸をつくる |
ラクトフェリンを摂取しても、乳酸菌そのものを補うことにはなりません。
ラクトフェリンが妊活で注目されている理由
妊活の分野では、子宮内のラクトバチルスの割合と、体外受精での着床・妊娠・出産の成績との関連が報告されています。
ラクトフェリンについても、摂取後に腟内や子宮内のラクトバチルスの割合が変化するか、その変化が妊娠・出産成績と関係するかが調べられています。
なお、飲んだラクトフェリンが子宮内の細菌に影響する仕組みは、十分には解明されていません。
米国生殖医学会(ASRM)も、子宮内フローラと着床との関連を認めつつ、検査や治療の適切性については追加研究が必要としています。
参考:ASRMの委員会見解
腟内フローラや乳酸菌の働きについては、「プロバイオティクスで膣内環境改善(妊活・おりものケア)」で詳しく解説しています。
論文からみるラクトフェリンの妊活への効果

2022年の研究|摂取後の菌の構成と出産成績を調査
対象は、胚移植を繰り返しても着床しない「反復着床不全」があり、腟内または子宮内のラクトバチルスの割合が90%未満だった37人です。
腸溶性ラクトフェリンを1日700mg、28日以上摂取した結果、16人(43.2%)で菌の構成が改善しました。
その後の胚移植で出産に至った割合は、次のとおりです。
| 摂取後の菌の構成 | 比較人数 | 出産に至った人数・割合 |
|---|---|---|
| 改善した | 14人 | 8人 (57.1%) |
| 改善しなかった | 9人 | 1人 (11.1%) |
※論文での指標は「生児獲得率」(生きた赤ちゃんの出産に至った割合)です。
改善した人の方が、出産に至った割合は高くなりました。
しかし、この結果から「ラクトフェリンが出産率を上げた」とはいえません。
両グループともラクトフェリンを飲んでおり、飲まなかった人とは比べていないうえ、人数も少ないためです。
論文の著者自身も、「無作為化比較試験での確認が必要だ」と結論づけています。
参考:Archives of Gynecology and Obstetrics
2019年の研究|抗菌薬などと組み合わせた治療を調査
子宮内のラクトバチルスの割合が低い方に、抗菌薬を1週間使ったあと、腸溶性ラクトフェリン(1日300mg)を続けました。
一部の方には、腟に入れるタイプの乳酸菌製剤も併用しています。その結果、菌の構成が改善した9例が報告され、そのうち5人が妊娠しました。
ただし、複数の治療を組み合わせているため、ラクトフェリンだけの効果とは判断できません。
また、研究全体では、ラクトバチルスの割合が高いグループと低いグループの妊娠率に、統計的に明確な差はありませんでした。
参考:Reproductive Medicine and Biology
研究結果を妊活にどう生かすか
2つの研究からいえるのは、「ラクトフェリンを飲んだあとに、子宮内の菌の構成が改善する人がいる」というところまでです。
菌の構成が変わったことだけでは、妊娠や出産につながるとは判断できません。
効果を確かめるには、飲むグループと飲まないグループを無作為に分けて比べる試験が必要です。その際は、年齢や胚の状態の影響も考慮します。
また、紹介した研究の主な対象は、体外受精を受けている方です。自然妊娠を目指す方への効果まで示したものではありません。
妊活中のラクトフェリンはいつから・どのくらい飲む?
研究で使われた摂取量・期間
紹介した研究では、次の量・期間でラクトフェリンが使用されています。
| 研究 | 1日の摂取量 | 摂取期間・使用条件 |
|---|---|---|
| 2019年の研究 | 300mg | 抗菌薬投与後に継続摂取。一部では腟内の乳酸菌製剤も併用 |
| 2022年の研究 | 700mg | 28日以上、連続して摂取 |
どちらの研究でも、腸溶性の製剤が使われています。
なお、これらは研究の条件で、妊活中の方への推奨量ではありません。
いつから・いつまで飲むか
ラクトフェリンを飲み始める時期に、明確な決まりはありません。
「妊活を始める何か月前から」「排卵日の前後に」といった目安も、紹介した研究では示されていません。
2019年の研究では、抗菌薬などと組み合わせた方法で、子宮内のラクトバチルスが優位になるまでに、ラクトフェリン開始から1〜3か月ほどかかり、個人差もありました。
やめる時期についても、明確な基準はありません。
医師からすすめられた場合は、次の3点を確認してから始めましょう。
- 何を改善する目的で使用するのか
- どのくらいの期間続け、いつ見直すのか
- 妊娠がわかった後も継続するのか
目的と見直す時期を決めておくことで、必要性を確認しながら使用できます。
サプリメントを選ぶときのポイント

ラクトフェリンのサプリメントを選ぶときは、次の点を確認してください。
- 1日あたりのラクトフェリンの摂取量
- 腸溶性かどうか
- 原材料(乳由来か)
- ほかの配合成分
ラクトフェリンのサプリメントの一つに、BABY&MEの「ラクトフェリン」があります。
牛乳由来のラクトフェリンを、腸まで届くようにコーティングしたカプセルに入れた製品で、1日3カプセル(ラクトフェリン300mg)が目安量とされています。
牛乳アレルギーのある方は使用を避けてください。
なお、この製品を含め、ラクトフェリンのサプリメントで妊娠率が上がることは確かめられていません。
BABY&ME「ラクトフェリン」公式ページよくあるご質問
ラクトフェリンとラクトバチルスの違いは何ですか?
ラクトフェリンは「たんぱく質」、ラクトバチルスは「乳酸菌の仲間」です。ラクトフェリンを摂取しても、乳酸菌そのものを補うことにはなりません。
ラクトフェリンで流産予防はできますか?
ラクトフェリンによる「確実な流産予防効果」は、医学的に確立されていません。妊娠初期の流産には、胚の染色体異常が関わるものが多くあります。こうした流産を、ラクトフェリンの摂取で予防できるとは示されていません。
ラクトフェリンのサプリは妊娠中も飲めますか?
ラクトフェリンのサプリメントは、基本的には妊娠中も飲むことができます。ラクトフェリンはもともと母乳や初乳などに含まれる安全性の高いタンパク質の一種であり、通常の食品やサプリメントで摂取する範囲においては安全と考えられています。なお、サプリメントは製品ごとの摂取目安を守って使用してください。妊娠中は体調が変わりやすいため、処方薬を使用している方や、気になる症状がある方は、飲む前にかかりつけの産婦人科医にご相談ください。
ラクトフェリンを飲むタイミングは、いつがよいですか?
ラクトフェリンを飲むタイミングは、サプリメントのタイプによって異なりますが、一般的には胃酸の影響を受けにくい「食前」または「就寝前などの空腹時」がよりおすすめです。ただし、ラクトフェリンは医薬品ではなく「食品」に分類されるため、厳密な決まりはありません。製品の表示や、医師から指定された服用タイミングがありましたら、そちらを優先してください。
ラクトフェリンだけで慢性子宮内膜炎を治療できますか?
いいえ。ラクトフェリンを、慢性子宮内膜炎の治療薬の代わりに使用することはできません。診断された場合は、抗菌薬による治療が基本です。なお、慢性子宮内膜炎は、子宮内膜に炎症が続いている状態です。子宮内の乳酸菌の割合が低いことだけで、この病気と診断されるわけではありません。










